いつも本を速く読もうとする人は、詩篇や古典を少しゆっくりと味わってみるといいかもしれない。その場合、理解力を磨く必要があるだろう。十分な理解力が伴わないと、その良さがよくわからない。ストーリー(物語)も話の流れを追うだけではない。どちらが速く最後のページにたどり着くか、誰かと競いあうようなものではないのだ。大切なのは、ほかの人の気持ちになって(トールキンの作品を読めば「ホビット」の気持ちになって)過ごしてみることだ。

 

 できる範囲で構わないから、そのようにしてなるべく本と長く過ごしたい。残りのページ数が十ページを切ったところでお腹に痛みのようなものを感じることがあれば、読むべき本を読んでいると考えて間違いない。その本を急いで読み終えようとしてはいけない。好きな本はいつでも読み直せるが、読まなかった状態に戻すことはできないからだ。一度読んでしまえば、もう元に戻すことはできない。

つまらないと感じる本は、投げ出してもよい

 本が自宅に届いたら、あるいは地元の図書館で本を見つけたら、次のようにしてみよう。

 その本が届くのを待っているあいだ、書名があなたの頭の中をよぎることがあったと思うが、本を開いて、最初のページを、あるいは次のページを読んでみよう。

 やっぱり心がつかまれるか?

 であれば、読み進めよう。腰をおろして読むのがいいが、最初のページあるいは次のページを読んで響くものがなかったら?

 であれば、いつもしないようなことをしよう。(きっと)すでに耳にしていると思うが、いつもするようなことをいつもしていれば、人生はつまらなくなるからだ。

 すべて読む必要はない。惹かれない本は読まずに投げ出してしまおう。その本は10年後も手に入るし、その頃はあなたも変わっていて、ひょっとするとその本を楽しく読めるかもしれない。でも、今は放り出してしまおう。あきらめが肝心だ。でも、そのあいだに別のことをしてほしい。非常に重要なことだ。

2024.04.17(水)
著者=ジョー・ノーマン