この記事の連載
- タンタン 28年の生涯【前篇】
- タンタン 28年の生涯【後篇】
処置室に運んで人工呼吸
3月31日(日)の夜、パンダ館の室内でタンタンが尿と糞をしたので、宿直の飼育員がシーツを替えました。その際、伏せているタンタンが呼吸をしていないことに気づきます。すぐに宿直の獣医師を呼びました。午後10時21分のことです。
午後10時23分から宿直の獣医師と飼育員が心肺蘇生処置(心臓や呼吸を再び動かす薬の投与、心臓マッサージなど)を開始。帰宅していた飼育員と獣医師も駆け付け、10人近くが蘇生処置に加わりました。そしてパンダ館内の処置室にタンタンを運び、口から器官にチューブを入れて酸素を送り込む人工呼吸などを追加しながら、蘇生措置を続けました。
しかし午後11時56分、タンタンは心肺停止となり、パンダセンターの獣医師の楊 海迪(よう かいてき)さんらが死亡を確認。王子動物園の飼育員と獣医師も最期を看取りました。その中の一人、王子動物園の獣医師の谷口祥介さんにタンタンの最期の様子を尋ねたところ、「苦しまず、安らかな感じでした」とのことです。
死因は、心臓疾患に起因した衰弱死と考えられていますが、王子動物園で解剖して、中国側のチームと合同で詳しい死因を究明する予定です。解剖後の亡骸は中国との規定に基づき、中国へ送られます。
中国政府の関係機関である中国野生動物保護協会は4月1日(月)、タンタンの死を伝える文書を公表し、タンタンは「グレード4」、つまり最も重度の心臓疾患だったと明らかにしました
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2024.04.06(土)
文・写真=中川美帆