この記事の連載
「佐渡島の自然を巡る旅・冬篇」
「佐渡島の自然を巡る旅・文化篇」
佐渡の花巡り
美酒を味わい、お気に入りの1本を手土産に「天領盃酒造」
![「天領盃酒造」売店のディスプレイ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/1280wm/img_6890ffd741e5e1d4763447e6df18af52282228.jpg)
金銀山の繁栄とともに発展を遂げた佐渡島の酒造り。かつては200を超える酒蔵があり、現在は5つの蔵が趣向を凝らしてお酒を醸しています。
「天領盃酒造」は、江戸中期からの歴史を持つ酒蔵をルーツに持ち、合併や倒産、M&Aを経てリスタート。代表銘柄「天領盃」のリブランディングや2019年発売の新ブランド「雅楽代(うたしろ)」が2023年にJAL国内線ファーストクラスの機内酒として採用されるなど、さまざまな挑戦が話題になっている次世代を代表とする酒蔵です。高い品質で日本酒ファンを増やし続けている酒蔵を見学させていただきました。
![火入れ作業を終えると、さっきまで温めていたお酒を冷却します。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/0/1280wm/img_b01325c54b3a969ed9e8401c8cf3b54b587176.jpg)
酒蔵を訪れた日は、火入れ作業中。火入れとは生の日本酒を加熱する工程で、殺菌や品質の安定化に役立てるもの。デメリットとしては、フレッシュさがなくなったり、香りが飛んだり、微発泡感がなくなることがあるようですが、最新の機械を導入したことで、味や香りを逃すことなく、安定的に火入れできるようになったそうです。
![マイナス5度で貯蔵できるコンテナ冷蔵庫や冷蔵室も設備投資したもの。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/a/1280wm/img_ea19c86153a1f60bdff71563db4d1cf1532784.jpg)
天領盃酒造のコンセプトは、佐渡最高峰の金北山の伏流水を使用した、きれいで軽くて穏やかな酒造り。そのための設備投資を毎年行っているので、常に進化し続け、お酒に反映されています。
たとえば、どんなに質のよい日本酒をつくれても、保存環境に問題があれば台無しになるもの。生酒はマイナス5度まで落とせば劣化しないといわれます。そこで、大型冷蔵庫も導入し、生酒でも質を落とすことなく、最高の状態で保存できるように。ほかにも、オゾン水でタンク清掃を行なったり、オゾン水で洗える洗濯機を採用したり、蔵の環境をよくするための設備投資はどんどん行なって衛生環境を保っているそう。
![売店には、これまで採用してきた酒米の展示も。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/1280wm/img_13f22dcc5a9ef168a9983c70eccd1b94553251.jpg)
ショールームのような売店も新設したひとつ。シックでモダンなつくりの売店では、お酒を試飲することができ、お気に入りの1本を見つけるのに気合が入ります。試飲できるお酒は季節ごとに変わるので、スタッフの説明に耳を傾けて楽しくテイスティング。
![試飲1種(60ml)500円。左から淡麗な味わいの「雅楽代」とぽってりとした甘みの「雅楽代~玉響(たまゆら)~」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/2/1280wm/img_720b25913ca5dadca3f779b6afca60fd379983.jpg)
火入れ技術の向上によりフレッシュ感がありながらまろやかな味わいに進化したという「雅楽代」シリーズは、穏やかで後味すっきりのきれいなお酒。ほんのり旨みと甘みがあって食中酒にうってつけ。「天領盃」の低アルコール原酒や「OUROBOROS」といった古酒なども揃います。
![両津港からも近い国道350号沿いにある「天領盃酒造」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/8/1280wm/img_b886a82f613a6edfd99343f2e94e4427570810.jpg)
天領盃酒造
所在地 新潟県佐渡市加茂歌代458
電話番号 0259-23-2111
営業時間 9:00~17:00(臨時休業あり)
※酒蔵見学は要予約(冬季、土日は休み)
https://tenryohai.co.jp/
![加茂湖の近くで顔の黒口なった冬のトキを発見。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/1280wm/img_f7c91b164b117bf1972374c23639a015715813.jpg)
2024.03.27(水)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史