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フェムテック先進 台湾のいまが知りたい #1
フェムテック先進 台湾のいまが知りたい #2
フェムテック先進 台湾のいまが知りたい #3
名物をしみじみ味わって、のんびりと街歩きしたい台湾は、少し見ぬ間に懐かしさはそのままに、ヘルシーに進化していました。「CREA」2024年春号の「行かなくちゃ、台湾」特集。その一部を抜粋し、掲載します。
CREA 2024年春号
行かなくちゃ、台湾
特別定価980円
若い世代にフェムテックが浸透している台湾。現地で結婚、出産、子育てを経験している近藤さんにその背景を教えてもらいました。
20代の若者たちが設立した世界で唯一の月経博物館
![台北市内の伝統市場内にあった古い建物を自分たちでリノベーションしてつくられた「月経博物館」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/5/1280wm/img_b522a673172b144d8257cd5c637add33131676.jpg)
女性の社会進出が進む台湾では、生理休暇を取得したり、人前で自分が生理中で体調が悪いことを伝えるのは、ごく自然なこと。ただ、少し前の世代までは「生理は汚れたもの」という価値観が根強く、生理に関する教育も進んでいるとは言えなかったそう。
そんな台湾で、20代の若者たちが立ち上げたNPO「小紅帽 With Red」が2022年の夏、台北に「月経博物館」をオープンして大きな話題となりました。子どもからお年寄りまで幅広い世代が訪れるほか、来場者の4割ほどが男性だというから驚きです。なかには大学生の頃に「彼女の生理がつらそうだから、もっと理解したい」とこの場所を訪れ、そのままNPOのメンバーになった男性もいたのだそう。
![博物館の来場者がそれぞれの生理への思いを書いたメッセージカードを掲示。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/1280wm/img_94fa97ba3e979a64a68eb67126dd9e0e87583.jpg)
3階建ての建物の2階までが月経博物館として無料開放されていて、1階は子宮や生理の仕組みなどについてアートやインスタレーションを通じて知ることができるギャラリースペースになっています。
まるで子宮の中にいるような塗装が施された2階には、NPOが自ら開発した生理教育用の教材や、さまざまな月経カップや月経ショーツ、月経ディスクにナプキンといった生理用品が展示され、実際に触ってみることが可能です。
![NPOが手掛けた教材や関連書籍をはじめ、月経博物館のオリジナルグッズも購入することができ、それが支援につながっている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/6/1280wm/img_96f76f083c7bfcdd9e2df7296971dd6b120143.jpg)
また、NPOのメンバーらが三、四世代にわたる女性たちに聞き取り調査したものを記録に残す「阿媽ê月」という取り組みで制作した映像や書籍などを展示。月経が「不浄なもの」とされナプキンもない時代に、隠しながら暮らしてきた世代の貴重な体験談に触れることができます。
2024.03.12(火)
文=近藤弥生子
写真提供=小紅帽 With Red
CREA 2024年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。