多くのファンに惜しまれながらも、2023年6月29日をもって解散したガールズグループ、BiSH。メンバーの一人であるモモコグミカンパニーが、「解散宣告」から東京ドームで行われたラストライブまでの3年半の日々を、リアルタイムで書き記していたドキュメンタリーエッセイ「解散ノート」が2月に刊行された。
ここでは、BiSHのファンであり、モモコグミカンパニーが読者だった小説家・住野よるさんが「解散ノート」をどう読んだかについて紹介します。
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解散ノートの中身を読んだ正直な感想は…
初めましてのかたは初めまして、知ってくださっていたらありがとうございます。小説家の住野よると申します。モモコグミカンパニーさんには「麦本三歩の好きなもの」という小説のシリーズでカバーモデルを務めていただき、大変お世話になっています。同時に僕はモモコさん推しの清掃員でもあります。
解散ノートについての原稿依頼をいただいた時に、まだBiSH関係の仕事がくるのかという驚きと、もうBiSHについて言葉を求められるのはこれがいよいよ最後だろうなという寂しさがありました。今、解散ノートを読み終わり、きっとこのコメントを書ききった時に僕の中にいたBiSHが本当に解散するのだと思います。
さて、実はモモコさんに向けた感情は少々複雑です。僕が大ファンであり、モモコさんがありがたいことに読者さんであり、自作の表紙を飾ってくれた人であり、そしてモモコさんが小説を出版されてからは同業者でもあります。複雑です。ただそのどれをとっても、行きつく一つの気持ちがあって、それはモモコさんには嘘をつきたくないということです。
なので、実際にはもっと驚いた感想や衝撃のコメントを求められているのかもしれませんが、解散ノートの中身を読んだ正直な感想は、こういうことが書かれているのではないかなということが書いてあった、です。
もちろん細部に関しては違います、知っていたはずもないです。つまらなかったという意味でもないです。そういうことではなく、この解散ノートを公開するという事実、私的なメモをファン一人一人と共有しようとしたことこそがモモコグミカンパニーらしさに包まれているような気がして、ならばその中身はどんな内容なのか、足りないかもしれませんがこれまでステージや雑誌、テレビ、小説やエッセイで知ってきたモモコさんから予想すると、この本の中身にとても納得がいくのです。
2024.03.07(木)
文=住野よる
写真=鈴木七絵/文藝春秋