読者の皆様も今年はどんな素敵な大衆そばに出会うだろうか。はやくコロナも紛争も終わって欲しいものである。

 

「丹沢そば」社長の遺志はこれからも続く

 そして1つだけお知らせを記させてください。文春オンラインでも3回登場いただいた神奈川県秦野市にある「丹沢そば」だが、個人的にも大変お世話になった石井勝孝氏が2023年11月に急逝された。残念でならない。秦野のそば生産と農産物としてのそばの6次産業化に貢献し続けた、ターボエンジンみたいな方だった。享年64歳と若すぎる死であった。自分も何か一緒にやろうと思案していたところだった。

 現在は2人の娘さん、絵里子さん・翔子さんとそのご主人が石井氏の遺志を全うすべく経営を引き継いでいる。これからも応援していこうと思う。幸い、福島県や秋田県などで有志が作付けを拡大するという話もある。

 日本のそば粉の自給率を一段と上げるべきだという想いは確実に進んでいる。自分もできる限り応援していこうと考えている。「米だけじゃない、そばもだ。国産そば粉の自給率アップをやろうと思えばできる。やろうぜ」石井氏の声が今でも聞こえてくるようだ。「ロンググッドバイ石井社長」

2024.01.25(木)
文=坂崎仁紀