野宮 というか、10年続けられるのが凄い!
中尾 10年やれば何とかなるかなと思ったのよ。で、クラシックバレエもそこから10年やって。そうしたら、もう脚が上がらないし、これは続けていても先がないなと。それで今度はタップを始めたの。それが50。
松本 タップのほうが大変そうに思いますけど?
中尾 でも脚を上げなくていいじゃない(笑)。それで50になったときに、ほかにもいろんなことに挑戦しようと、水泳を始めたり、車の運転免許を取ったり、パーソナルトレーナーについて筋トレを始めたり。
渡辺 水泳はマスターズに出るほど上達されたって。
中尾 ふふふ。案外、誰でも出られるのよ(笑)。でもね、運転はもうやめることにした。そもそも車が好きじゃないし。事故を起こす前にやめようって。今月いっぱいでやめます。
松本 思い立ったら決断は早いほうですか?
中尾 早い。だから明日車屋に行きます(笑)。
全員 早っ!
中尾 ここのところ、私は終活をしてるのよ。ていうか、終活っていう意識はないんだけど、やることなすこと、これって終活だなって。だってそうだよね、自分は若いと思ってても年が年なんだから。
渡辺 でもなかなか潔いですよね。普通だと、じゃあこれをやめよう、捨てよう、ってすぐにできるものでもないじゃないですか。
中尾 私はもともといろんなことに執着しないタチなんだけど、「終わる」とか「捨てる」とか、マイナス思考でものごとを考えてたらダメよね。楽しみながらじゃないと。最近、家の外壁を塗り替えたんだけど、自分の体が動くいまのうちにやっておこうと思ったのね。じゃないともうできなくなるなって。そして、そういうことも、全部人任せにするんじゃなく、自分も参加したり、友達に手伝ってもらったり、近所の人を呼んだり、みんなでやればイベントみたいになって楽しくなるなって。
渡辺 ミエさん自身も塗ったんですか?
中尾 やったのよ。赤とか青に塀を塗りました。ワークマンで道具なんかをいろいろ買ってきて。初めての体験だったからすっごく面白かった。何歳になっても初体験って楽しいよね。
2024.01.15(月)
文=辛島いづみ