お互いに親孝行ができたなと感じた瞬間

内田 お義母さん、密葬の日にも母の居間で、つぶやくように言ったの。「しみじみと思っているのよ。最初は寂しかったけど、雅弘が也哉ちゃんたちの内田家に入ってよかった。本当にありがとう」って。本木さんはそれをどう感じたの?

本木 やっぱりホッとしたよ。お互いに親孝行ができたなって、純粋に。母には、私たちが崖っぷちどころか、もう崖ごと崩れ落ちるぐらいの大きな夫婦喧嘩をしているとか、ぎりぎりのところで繋がっているという現実を何も知らせていないわけで。

※「明け方の4時まで続くことも」あったという夫婦の危機や、仲裁に入った樹木希林さんが「裕也のほうがまだすがすがしかった」と語った理由、本木さんが内田さんに求める像、そしてお互いの「死」についてなど、全21ページにわたる対談の全文は「週刊文春WOMAN2024創刊5周年記念号」でお読みいただけます。

うちだややこ/1976年東京都生まれ。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか音楽ユニットsighboatでも活動。著書に『会見記』『BROOCH』『9月1日 母からのバトン』『なんで家族を続けるの?』(中野信子との共著)など。翻訳絵本に『点 きみとぼくはここにいる』『うみ』など。本木との間に二男一女がいる。


内田也哉子『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』(文藝春秋)

母・樹木希林と父・内田裕也をたてつづけに喪った。独りで歩きだす背中をそっと押す、15人との〈一対一の対話〉。小誌人気連載が待望の書籍化。

もときまさひろ/1965年埼玉県生まれ。81年デビュー。アイドル歌手として活躍後、本格的に俳優の道へ。自ら発案し、日本アカデミー賞主演男優賞も受賞した映画『おくりびと』(2008年)は、邦画初の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。2024年は、倉本聰が35年ぶりに映画脚本を手掛けた『海の沈黙』に主演予定。

text: Atsuko Komine
photographs: Kenshu Shintsubo
make-up: COCO(Yayako)

BLANK PAGE 空っぽを満たす旅

定価 1,760円(税込)
文藝春秋
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2023.12.29(金)
Text=Atsuko Komine
Photographs=Kenshu Shintsubo
Make-up=COCO(Yayako)