「性にまつわる嫌な経験」というのは、深刻な性犯罪に限りません。

 性被害にあってしまった人とあったことがない人のあいだには、くっきりと線が引かれているわけではなく、例えば、ちかんにあったことがあるとか、お兄ちゃんから嫌なことをされたことがあるとか、「言われてみれば、あれは被害といえるかもなぁ」と思いあたるできごとは、いくらでもありえるのです。

 そこには無数のケースがあって、本人がどのくらい傷ついたか、そして、その後の人生への影響についても、色濃く影響を受けた人から淡くしか覚えていない人まで、まさにグラデーションのようなイメージです。

 少なくとも、何かあったときに娘さんが話してくれるかどうかは、親子がいろんなことを話し合える関係性であることが欠かせません。幼いころから望ましい関係を築いていくことが、娘さんを守ることにつながるのです。

構成/長瀬千雅

娘と話す、からだ・こころ・性のこと

定価 1,760円(税込)
朝日新聞出版
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2023.12.07(木)
文=高尾美穂