万一のために、娘にどんなことを伝えておくことが望ましいか、少し考えてみたいと思います。

 まだ幼い娘に伝えるとしたら、

 お父さんやお母さん、おばあちゃんやおじいちゃんがあなたのことをかわいいと思うような「かわいい」とは違う、もしかしたら、あなたが嫌な気持ちになったり、怖い思いをするかもしれない「かわいい」という思いを持つ人がいることもあるんだよ。

 という言い方になるのかなと思います。

 つまり、幼い年齢であっても性の対象と見られることがある、ということです。

 あなたももう少し大きくなったら、誰かとくっつきたい、(性的な意味を含めて)ふれあいたいと思うようになると思うけど、それは、本当に好きだと思える相手だったり、一緒にいて安心だと感じられる相手だからそういう気持ちを抱くんだと思う。

 だけど、自分はそうは思っていないのに、一方的に相手からそういう対象と見られてしまうことがある。

 特に男の人は、そういった衝動(気持ち)を抑えられないときがあるみたいなんだよね。

 だから、何かおかしいなとか、これっていいのかな?と思うことがあったら、必ずお母さんに話してね。

 このようなことを、遅くとも小学校低学年のうちには伝えられるといいのではないでしょうか。

子どもの頃のトラウマが今後の人生を変えてしまうことも

 大人の性的な欲求が子どもに向かっていたり、子どもに自衛を求めなければいけなかったりする状況を見聞きすると、いびつな世の中だなと思います。衝動をコントロールしなければいけないのは、当たり前ですが、大人の側です。

 ですが、子どもたちの学校生活は意外に無防備で、例えば、スクール水着を着るとパッドが入っていなくて乳首のかたちがわかってしまうとか、おっぱいが大きくなり始めている年代でもあるのに健康診断のときに上半身裸にならなければいけないとか、大人側のよこしまな気持ちのあるなしにかかわらず、プライベートゾーンが守られていない状況が見受けられるのも確かです。

 

 子どもから大人へと育っていく過程において、性にまつわることで嫌な経験——トラウマとして、こころに深い傷を残すような経験——をすると、その後の人生を大きく変えてしまうであろうことは、みなさんにも想像できるでしょう。

「性にまつわる嫌な経験」は性犯罪に限らない

 その人に落ち度があるわけではないのは当然であり、大前提です。本人が一番、避けられることなら避けたかったに違いないことは、言うまでもありません。だけど、すでに起きてしまった。消せない事実を抱え、その後の人生において、その人がどのようにそこから回復していくか。そうした経験をうちあけられたとき、まわりがどのようにサポートできるか。どうしたらそんな経験をする女性を減らせるか、より効果の高い予防の仕方とは、といった社会全体で取り組むべき課題として、今後も追究し続けるべきだと思います。

2023.12.07(木)
文=高尾美穂