オフコースはヒット曲を出した。
そして日本武道館公演を控えるまでになった。「武道館でやりたいと言い始めたのはスタッフだからね、俺はあんまり思わなかった」と小田は振り返るが、それだけオフコースは名実ともに大きなバンドへと成長したということだろう。
もうひとつ、「さよなら」のヒット後、少し変化があるとすれば、かつてマネージャーだった上野博の再登場と言えるだろうか。
1980年1月末、新宿厚生年金会館での公演を見に来た上野博に、小田は「さよなら」の次のシングルについて相談した。上野も「『生まれ来る子供たちのために』を出したらいいやん」と励まし、結局、これを機に、上野がふたたびプロモーション担当として、オフコースに関わるようになる。そして、この上野の再登場により、オフコースはまた新たな局面を迎えることになるのである。
〈小田和正が「自分の歌を聴くのが、しんどくなっちゃってさ」と感じた瞬間とは…激動の2010年代をふりかえる〉へ続く
空と風と時と 小田和正の世界
定価 3,190円(税込)
文藝春秋
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2023.11.27(月)
著者=追分日出子