「生シードル」をつくるニッカウヰスキーの工場へ

 弘前で主にシードルを製造するニッカウヰスキー。ニッカといえば約10年前に放映されたNHK連続テレビ小説「マッサン」を懐かしく思い出す人も多いのでは。社名からするとウイスキー製造からスタートしたと思いきや、1934年、北海道の余市市に創業者の竹鶴政孝氏が「大日本果汁株式会社」を設立し、その「日」と「果」を取って「ニッカ」としたそうです。

 1954年(昭和29年)、弘前市吉野町に「朝日麦酒」と「日本酒造」の提携で設立したのが「朝日シードル株式会社」で、これが日本におけるシードル製造の幕開けとなり、「アサヒシードル」の名で本邦初のシードルが誕生しました。

 現在、ニッカ社がアサヒシードルからシードル事業を引き継ぎ、全国展開している主力アイテムは「ニッカ弘前生シードル」。商品名に「弘前」を謳い、非加熱製法によるフレッシュな風味が特徴です。100%東北産(ほぼ青森県産)のリンゴを丸ごと丁寧に搾汁した果汁を用い、糖類・香料無添加のうえ、10度以下の低温でじっくりと発酵させているので、りんごの新鮮で繊細な香りが際立ちます。

 「ニッカ弘前 生シードル」にはドライ、スイート、ロゼのタイプがあります。ドライ、スイートで使われるりんごはともに「ふじ」主体で、ロゼには「紅玉」も使用。ドライはアルコール度数が5%で料理との相性も良く、フランスではガレットとの組み合わせが定番のように、私たちの食卓でも取り入れたくなるシーンはたくさんありそう。魚介の冷製やサンドイッチなどとも合いそうです。スイートはりんごの風味を多く残した甘口タイプで、アルコール度数も3%と低め。ふだんお酒を飲みつけない人でも、ふんわりといい気分に。

2023.11.14(火)
文=CREA編集部
写真=榎本麻美