――すでに前を向き始めている?

上島 はい。長文のDMを送ってくれているということは、辛かったこと、悲しかったことと向き合って、文字に起こしているということだから。

「楽しそうな人生だったね」と言ってもらえる人生を送りたい

 私自身が『竜ちゃんのばかやろう』を書き終えてから気づいたのですが、“書くこと”で自分の心と向き合うことができたと思っています。本にするためには、竜ちゃんの死に向き合わなければいけない。忘れてしまいたいことも、思い出さないといけない。書き始めるまでは、そんなことが私にできるんだろうかと不安でした。実際に、文字に起こしている間はすごく辛かった。でもいざ書き終えてみると、「これでやっと前に進める」という気がしたんですよね。

 それでも、「何もしたくない」「辛い」と思うときもまだまだあります。でも、本当に何もしないで膝を抱えたまま過ごしていたら、「竜ちゃんのせいで、私の人生めちゃくちゃだ」と恨みながら人生を終えてしまうと思うんです。そんな人生は私も嫌だし、きっと竜ちゃんも悲しませてしまう。

 それよりも、いつか会えたときに「先に行って空からヒーチャンを見ていたけど、楽しそうな人生だったね」と言ってもらえる人生を送りたいですね。

INFORMATION

上島光さんエッセイ『竜ちゃんのばかやろう』KADOKAWAより発売中

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【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】

▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)

▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)

▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)

2023.11.06(月)
文=仲 奈々