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 東京03さんによるコント番組第2弾、「イザミと東京03」が現在絶賛放送中。本作の演出を担当し、「有吉の壁」「有吉ゼミ」などの番組を生み出したヒットメーカーでもある日本テレビの橋本和明さんにインタビューしました。

 後篇では、学生時代に自身でもコントをやっていたという橋本さんの、どこまでも深いコント愛について伺いました。橋本さん、“コントを守る会”って何ですか!?

» 前篇はこちら『やっぱり東京03のコント愛はすごい! 日本テレビ橋本和明に聞いた コントドラマ「イザミと東京03」裏話』


コント番組とはテレビに残された可能性のひとつ

――橋本さんは昨年の「東京03とスタア」や「笑う心臓」、今回の「イザミと東京03」など、コント番組をこのところ立て続けに手がけられています。以前からやりたいという強い思いがあったんでしょうか。

 そうですね。学生の頃はシティボーイズやジョビジョバが大好きでライブに通ってて、自分でも東大落研でコント集団をやっていました。それで日本テレビに就職したんですが、バラエティはできてもお笑いをやれる環境が当時はあまりなかったんです。

 でもありがたいことに「有吉ゼミ」が当たって、「有吉の壁」をやるチャンスをもらって、そのおかげでようやくコント番組をつくれるようになりました。それで今、堰を切ったようにやってます。

――ちょっと話が大きくなりますが、テレビにおけるコント番組の役割とはどんなものだと考えていますか?

 テレビに残された可能性のひとつだと考えています。コントには人生を変える力があるんですよ。人間って、“つくりもの”に魅了される側面が絶対あるじゃないですか。すごい演劇を観たりすごいコントを観たりして、「こんなものがつくれるんだ」と心が震えることがある。それは僕自身もそうだったし、それくらいの魔力のあるコンテンツを生み出せないとテレビはもう終わっていってしまうと思うんです。若い人が観続けるものではなくなってしまう。

 演者さんでも作り手でも、コントがやりたくてこの世界に入ってきた人は多いです。でもその機会ってやっぱり少なくて。僕も入社してから「壁」まで12年くらいかかりました。だからこそ、僕たち“コントを守る会”としてはつくれるときにつくりたいんです。

コントってそれをやらないと生きていけない人間がやるもの

――“コントを守る会”というものがあるんですか!?

 いや、それは僕が勝手につくった言葉なんですけど(笑)。でも同志はいろんなところにいるんですよ。「壁」の現場でハナコの秋山くんやかが屋と会うといつも「どこかでコントやりたいね」って雑談してます。

 コントって、それをやらないと生きていけない人間がやるものだと思うんです。だってお笑いで天下を獲ろうと思ったら、コントを選ぶのは遠回り甚だしいじゃないですか。漫才だったらトーク番組でもほかのバラエティでもすぐ役に立つしスキルの使い方もいろいろあるけど、コントはそんなに潰しが効かないですよね。だから連携して頑張っていかないといけないと思っていて。

――橋本さんはテレビの内側からそこをもり立てていく役割を担っているわけですね。

 特に若い才能が活躍できる場をつくり続けたいです。僕が言うのもなんですけど、それはテレビじゃなくてもいいんですよ。今は配信もあるから、舞台やライブと連動してやることもできる。どんな方法であれ、なんとかコント好きがコントをやっていける世の中であり続けたい。そのために努力しているといってもいいかもしれません。

2022.10.01(土)
文=斎藤 岬