つづ井 調べても調べても個人情報が出てこなくて。それでおかしくなってる様子が3冊ぐらいにわたって描かれてるんですけど。
宇垣 「個人情報を何も知らないのに推していいのか」みたいなことを書かれていたじゃないですか。別に私はそれいらないのよなあって思いながら読んでました（笑）。
つづ井 そう言われるとそうかって思うんですけど。この俳優さんが好きなのか、この俳優さんが演じるキャラクターが好きなのかっていうのがわからなくて……。オフでしゃべってるところとかも見たことないし。
私の周りの子たちがやってる推し活と違いすぎて「私のやってることは何なのか？」という疑問がぬぐえないんですよ。本当にこの人を「推し」と言っていいのか答えが出ないまま6年が経ちました。
――「推し」との距離感についてはどう思われますか？
つづ井 私は推しの俳優さんには、本当に一生関わりたくない（笑）。
宇垣 認知されたくない？
認知されないために取った「秘策」
つづ井 はい。それが一時認知されかかってしまって。だいたい同じような席で見てますからね。「あれ、私目線もらってない？」と思って。念のため1回友人についてきてもらったら「めちゃくちゃ目線合ったよ」って言われて。それから髪型も服装も変えて絶対認識されないようにしなきゃって（笑）。
宇垣 私も認知されたくないですね。私、マ・ドンソクという韓国の俳優さんが好きなんですけど。ラジオなどでマブリーのことを積極的にお話しできるのは、外国の俳優さんだと、「なんでもない1人のファン」になれるからなんです。日本の方だと知ってくださって認知される可能性が高いかもなと危惧していて。
サイン会みたいなのでちらっと会うぐらいだったらいいんですよ。ただ、個人を把握されたくはない。
つづ井 私の場合、認知されたくない理由はエゴで。もし認知されると、一方的に応援している状態じゃなくて相互の人間関係になってしまう。推す責任が生じてしまうと100％「好き」の気持ちで推せなくなりそうで。
2023.10.09(月)
文＝粟生 こずえ
