中野 メイクした男性アーティストの走りはYMO(イエロー・マジック・オーケストラ/坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣)ですよね。

坂本 当時はキャーキャーされていたようですね。バレンタインデーの時期になると、わが家の廊下にファンの方から贈られたチョコレートが詰まった段ボールが10箱ぐらい並んだのを覚えています。

 

中野 世界的人気を博しましたからね。

坂本 YMOの刷り込みのせいか、私もシンセサイザーの音楽は好きで、初めて自分のお小遣いで買ったCDは、TM NETWORK(小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登)のアルバムでした。

 当時の曲から後の小室ファミリーの曲まで、小室さんの曲なら何でも歌えます。私が高校生のときにSister Mとしてデビューするきっかけとなったのも小室さんの曲でした。父のスタッフの方が、私がカラオケで『I’m proud』を歌った声を覚えていてくれたんです。

空の巣症候群になりやすい、50~60代女性がハマる「BTS」

中野 そんな美雨さんが当代きってのアイドルの沼にハマった。

坂本 私自身、40代になってからアイドルにキャーキャー言うようになるとは、想像もしなかったです。でもBTSの沼にハマっているのは、日本だけでなく世界中の私の同世代や50代、60代の成熟した女性が多いんですよ。

中野 ちょうど空の巣症候群になりやすい年代です。

坂本 空の巣?

中野 子どもが成長して自分の下から巣立ち、その喪失感で辛くなってしまうという症候です。

坂本 私もそこに差し掛かっているかもしれません。娘が私に反抗するのは成長の証ですものね。

中野 そういった女性の辛さというのはあまり科学の俎上に乗らないんです。これは、科学者が男性に偏っていることと無縁ではないでしょう。世知辛いことですが医療経済的な理由からも、まともに寄り添ってもらえることは少ない。この喪失感は、悪質な宗教や怪しげなビジネスの勧誘、ロマンス詐欺被害の温床になりやすいんです。

2023.10.08(日)
取材・構成=小峰敦子
写真=志水隆