“天然のプランター”で育った名産品といえば?
その後も噴火は度重なりますが、20世紀以降の噴火で地形を変えるほど大きなものは大正3(1914)年のもの。噴煙は1万8,000メートル上空まで上昇し、火山灰はカムチャツカ半島まで達したとか。そして流れ出した溶岩によって桜島と大隅半島は地続きになったのです(桜島は陸路でも行けるのです)。
大正3年の噴火では1日2メートルも火山灰が降り積もり、そのすさまじさは地面に上の部分だけを覗かせた黒神埋没鳥居で窺い知ることができます。
しかし巨大噴火が招くのは、被害ばかりではありません。噴火によってもたらされた恩恵のひとつが、シラス台地です。
軽石が多く混じっている桜島の土壌は、“天然のプランター”と言われているとか。雨が降れば、軽石が過剰な水分を吸収し、晴れれば軽石が吸収した水分が土に放出されて水やりのような効果が。
そんな桜島の土ですくすくと育った名産品といえば、桜島大根! あの巨大な大根です。2003年には重さ31.1キロ、周囲119センチの巨大な桜島大根がギネス記録に認定されました。そして2023年1月にはそれを上回る33.7キロもの超ビッグなものができましたが、運搬時にひび割れてしまって、審査対象外になってしまったとか。惜しい!
桜島大根は水分をたっぷり含み、やわらかで甘みが強いのが特徴。近年発見された“トリゴネリン”という血管をしなやかにする成分も注目されているそうです。
2023.10.07(土)
文・撮影=古関千恵子