それが私から山ちゃんに歩み寄るきっかけになったし、向こうもボクシングをやる私を見て「本当にがんばってるんだな」って思ってくれたと思うんですよね。そういうことでコンビの関係性は変わってきました。

――その後、お二人が単独ライブをやったときに、山里さんがアドリブでずっとしゃべり続けていたことに驚いた、と書かれていたのも面白かったです。ボクシングをやっていたしずちゃんから見てもスタミナがすごかった、っていう。

 

しずちゃん 山ちゃんのしゃべるスタミナがすごいなと思いました。私たちは今まで単独ライブもやったことがなかったし、漫才も決められた時間でしかやってなくて、アドリブで遊ぶみたいなのがなかったんです。それで、単独ライブのときに山ちゃんがゾーンに入る感じを初めて横で見ました。

 本来20分の漫才を40分ぐらいやっていたこともあったんですよ。完全に入っていて降りようとしないんです。それなりに用意していた言葉もしゃべってると思うんですけど、それだけじゃなくて、その場で思いついたこともしゃべっているように見えました。

――漫才をやるのは面白いですか?

しずちゃん そうですね。単独ライブは2日で4公演あったんですけど、やっぱりそれだけやるとどんどん上手になっていく感じがするんです。それが楽しかったです。普段は月に1回とか2回ぐらいしか舞台に立たないので、間が空くと感覚がリセットされちゃうんですよね。

初の個展は「すっごい幸せな時間やった」

――今は俳優業や絵を描く仕事などもやられていますが、やはりお笑いの仕事があるからこそほかのこともできている、という意識はあるんでしょうか。

しずちゃん そうですね。今はお笑いの仕事って正直少ないなとは思うんですけど、ネタをやっていたら芸人って言えるので。肩書は「芸人」って言いたいし、そこがないとほかの仕事のオファーもないんじゃないかなと思います。

――今でもいろいろな活動をされていますが、今後やりたいことはありますか?

しずちゃん 新しく何かをやりたいっていうことは今のところないですけど、単独ライブはまたやりたいし、個展もいろんなところでできたらいいですね。

 個展はこの前、初めてやらせてもらって、すっごい幸せな時間やったんですよね。多くの人に来てもらって「良かったです」とか言ってもらえたりして、自分のファンの人がいるんやな、って思ったんです。

 いつも南海キャンディーズのライブは山ちゃんのファンの人が来てるって思ってたんですけど、私一人の仕事でも自分を応援してくれる人がいて、直接感想を言ってくれるっていうのは、めちゃくちゃ幸せでしたね。

2023.09.22(金)
文=ラリー遠田