「恐れも遮断できるんです。でも、恐れを遮断するには、喜びや共感などほかのものも一緒に遮断しないといけないのでしょう」
子ども時代のPTSDで、満たされるのを嫌うようになったのだろう。グライムス(マスクの元恋人)はこう言う。
「成功をかみしめるとか花の香りを楽しむとか、そういうのは、どうすればいいのかわかっていないのだと思います」
「人生は痛みの連続だと子ども時代にたたき込まれたのでしょう」
そのとおりだとマスクも同意している。
「私は苦しみが原点なのです。だから、ちょっとやそっとでは痛いと感じなくなりました」
暗いところに入ったり怖いと感じたりすると、昔、遊び場でいじめられた恐怖がよみがえってくる。そんなマスクに、遊び場を我が物とするチャンスが巡ってきた。2022年のツイッター買収である――。
〈「経営者は人に好かれることを目指すべからず」イーロン・マスクがTwitterの取締役就任ではなく敵対的買収を決めた理由とは〉へ続く
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2023.09.14(木)
文=「文春オンライン」編集部