決して壮大な世界観ではなく、大切な人と手をつなぎ、その笑顔を守りたい、ということが多く歌われる。「ALONE(ひとり)」であることも、その大切な誰かと巡り合うため。彼らのラブソングには、お互いリスペクトできる、奇跡のパートナーシップというバックボーンを感じる。ビジネスだけでは語り切れない2人の「奥行」が、名曲を生んでいく。
Adoに楽曲提供というビッグニュースも
また、2022年から今年にかけて、稲葉浩志が声優への挑戦(映画『SING/シング:ネクストステージ』クレイ・キャロウェイ役)、これまでの作詞をまとめた作品集「シアン」(KADOKAWA)の出版、民放テレビドラマの主題歌(「あなたがしてくれなくても」のために書き下ろした「Stray Hearts」)担当と、今までにない動きを見せて話題に。B'zとしても7月19日の「クローズアップ現代」への2人揃っての出演に続き、令和のカリスマシンガー、Adoに楽曲を提供したというビッグニュースも到着した。
これは35周年という区切り、というだけではなく、エンタメという業界自体が沈み込んだコロナ禍が明け、パワーをより多くのファンと共有しよう、という意気込みにも見える。トンネルを抜け、再集合をかけているイメージだ。
新曲は「STARS」。複数形の星は、彼ら2人や作品のことだけではない。
今年は紅白への出場が囁かれている
「いろんな場所でのライブで、外だったら例えば日差しを浴びたり、ときに雨に打たれたり、室内だときれいなライトに当たったりとか、会場でのオーディエンスの皆さんの姿が一番最初に思い浮かびました。それが自然に出てきて、皆さん本当にキラキラ輝いてて星みたいだなと」
「輝き方はそれぞれ違いますからね。そういうものにわれわれは照らされながら、35年間やれてこられたという気持ちもあります」(「クローズアップ現代」)
彼らの楽曲を、いろんな感動を持って楽しむファンに“照らされている”。なんとも眩い星空!
紅白歌合戦への出場の可能性も囁かれている今年。そうなればもちろんうれしいが、2008年、NHKスペシャル「メガヒットの秘密~20年目のB'z~」でガッツリ密着された年も結局出演していないので、期待半分というところだろう。
ただ、今年のB'zはいつも以上に面白い。彼らを見守る“星”の瞬きを受け、パワーを爆発してくれるのは間違いなさそうだ。
2023.08.17(木)
文=田中 稲