――この小説はコロナ禍のことだけでなく、それが落ち着いてからの話のほうが長いですよね。だからこそ、これからの我々の生き方を示唆してくれるような気がしました。絶対に影響は出てくるでしょうけど、それでも悪いことばかりじゃないよ、と思わせてくれる物語です。
勇気を与えたつもりはないんですけど。自分は大人しくて目立たない生徒だったので、コロナ禍でしんどいながら、別に一人でいることが目立たないし、ペアになっての活動とか行事がなくなって良かったと感じるタイプだったと思うんです。どこかでホッとして。おそらく、そういう子は多いんじゃないでしょうか。それに慣れてしまうと、いざ「さぁ、体育祭でクラス一丸になれ」とか言われたら、すごくしんどいんじゃないかな。一方で、このコロナ禍で行動を制限されて「青春を返してくれ」と言えるような子たちへの憧れというのもあるでしょうし、どちらの子供もいるだろうな、と思いますけど。
○○世代という言い方
――普段、小説の構想というのは常に何となく考えていらっしゃるのか、無理にでもひねり出すのか、そのあたりはいかがでしょう。これまでも色々な作品を書かれてきて、今回はこういう内容にしようという決め手みたいなものは。
まずパソコンの前に座って、書かなきゃと思って書きます。そのうちに物語が出来上がって来る感じなので、これにしようという強い意志はないんですけど……。ただ今回は二字熟語とかを使った賢そうなタイトルを付けようと考えてました。
――二字熟語!?
私のタイトルはいつも長いものが多いので、ちょっと難しそうな「虚構」とか「情熱」「理想と現実」みたいなタイトルを付けようかなと思ったんですけど、そんな話にはなりませんでした。
――そういうオチですか(笑)。 瀬尾さんの場合、タイトルは最初に決めていらっしゃいますか。
3分の2くらい書いたときに思い浮かぶことが多いです。終わりに近づくに従い、これはこうだよな、というように。
2023.08.08(火)