――今回は、まさにこういうタイトルのお話ですよね。世代というのは、よく○○世代とか世代間ギャップとか、揶揄のように使われることも少なくないように感じますが。

 何とか世代という言い方はいつも阿保らしいなと思います。色々な人がいるのに、誰のことを指しているのだろうと。今の子たちのことを将来、大人たちは絶対にマスク世代と言うだろうなと思ったり。

印象的な食事のシーン

――瀬尾さんの小説に出てくる食事や食べ物のシーンはいつも印象的です。今回も、冴と母親が清塚君の家を訪ねて一緒にチョコレートを食べる場面が秀逸で、彼らにとってその後の人生を考えても心に残る場面ですし、読者の我々にとっても良いなと思えるものでした。そのあたりは意識して書かれていますか。

 意識はしてないですけど、人と人とが関わる場面を書くことが多く、そのときに誰かと美味しいものを食べながら、しゃべっていると楽しいと思うので、たまたまそうなっているだけですね。特に食のことを書こうと考えているわけではないです。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

 コロナ禍のことを書いていると、個人の問題だけではないな、と感じることがありました。社会的なテーマを書いたつもりはないですし、誰かに何かを押しつけるようなものを書きたくないといつも思っていますが、是非読んでいただけるとありがたいです。

――ありがとうございました。

 
 
著者プロフィール

1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』でデビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、2009年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を受賞。2019年に本屋大賞を受賞した『そして、バトンは渡された』は2021年に映画化され、文庫版は同年の年間ベストセラー文庫部門(トーハン及び日販)の第1位に。他に『図書館の神様』『強運の持ち主』『夜明けのすべて』など。

2023.08.08(火)