読者のゆるトレの引き出しを増やしたい
――素敵なパートナーさんですね。いしかわさんは今後の活動で、目標とされていることなどありますか?
いしかわ 産後の体験を元にした漫画も温めているので、それもいつか読者の皆さんに読んでほしいですね。
ゆるトレ漫画に関しては、種類を増やしていきたいです。ゆるトレの種類ってなんぼあってもいいと思うので。そうすれば、読者が自分の生活で使えるゆるトレの引き出しが増えていくと思うんです。
例えば、下半身の筋トレも色々ありますけど、場所とかシチュエーションでできるものとできないものがあるんです。日常生活のちょっとずつ異なるシチュエーションごとにやりやすい動きがあるので、「この瞬間ならハマる」というのを探していきたいなと思っています。
――ゆるトレ漫画の読者さんって、どういう方が多いんですか?
いしかわ デスクワークが中心の方や、産後のお母さんが多いですね。「子育てしながらできる」「寝かしつけしながらできる」とコメントをいただきます。
私の漫画は、ランニングをしたり、ジムに通うことが難しい人にも向けて描いてます。世の中には自分に時間を割けない人がたくさんいます。そんな中で、自分の生活と折り合いをつけて、日常のすき間時間にできることをやっていきたい。家から出なくても、できることを積み重ねたい。そういう需要があると感じています。
――週に1回SNSでゆるトレ漫画を投稿されていますよね。ネタ探しには、困らないんですか?
いしかわ 日常生活で意識して取り組んでいることがいくつもあるんです。例えば、お尻を締めながら生活するとどうなるか、背中が丸まらないよう意識して暮らしたらどんな動きになるか、階段を上る時に膝に負担がかからない方法はあるか。生活のあちこちで実験していて、こうしたらよいと感じたものを簡単にまとめて、ストックするようにしています。
20代の頃なら「ちょっとしんどいけど、頑張ればなんとかなる」と思えていたことが、アラフォーになるとどんどん難しくなっていきます。頑張るとか、気力とか、一生懸命にやる以外で、体が調子よく動くためにはどうしたらいいか。生活の仕方を少しずつ変えながら機嫌よく体が動いてくれる瞬間を探しています。
――すごく難しいことを毎日されているんですね。
いしかわ 運動神経がいい人は感覚でできることなんですよね。私は運動音痴だから、感覚でつかめない。体の動かし方を分解して、一つずつ段階を踏みながら頭で理解して動かすとできるようになるタイプなんです。だから日常生活でも、体の動きの連動とか仕組みを感じながら勉強したほうが、「自分の身になるな」って思っています。
いしかわひろこ
1986年大阪生まれ。愛知県名古屋市在住で、夫と小学生の息子と3人暮らし。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)卒業。SNSで「運動は大きらいだけど健康になりたい人」に向けた超ゆるエクササイズ漫画を投稿する。著書に『筋肉ゼロでもできるズボラゆるトレ』(KADOKAWA)、『オトナのがんばらない健康生活』(秋田書店)。
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2023.07.31(月)
文=ゆきどっぐ