この記事の連載

 買い物、献立づくり、調理、そして片付け。一口に「料理」といっても、さまざまな要素があり、特に育児中は苦痛に感じる人も多いのでは? それは料理のプロである、料理家だって同じ。彼らの食卓をのぞけば、ひらめきや勇気をもらえるかもしれない。

「子どもも自分も機嫌よく。それだけを意識すればいい」と語るのは人気料理家の今井 亮さん。その生活から、がんばらない食卓へのヒントを探しました。


お迎えから寝かしつけまで。父娘2人っきりのワンオペ

 「平日の夜は3歳の娘と2人。ワンオペですよ」とさらりと話す今井さん。会社員の妻の帰宅は毎日21時ごろなので平日は保育園のお迎えからごはん、風呂、寝かしつけまで。撮影が長引くときなど例外はあるが、基本はフルセットを今井さんが担っているのだ。ワンオペ育児の当事者だったとは。

 「料理家だからって食事づくりは余裕というわけもなく、しんどいですよ」おいしいものを作れば、ご機嫌に好き嫌いなく食べてくれるなんてことは妄想。時間に追われるなか、食べる食べないの攻防になるのは、料理家も同じ。

 娘が食べてくれるなら同じ料理が続いてもいいと考え、嫌いなものは一口チャレンジできればよし。いずれ好みは変わるからとおおらかに構えている。「自分も好き嫌いは多かったですから」

 「毎日できたて」という呪縛にもとらわれず、まとめて作って冷凍したりゆでてストックしたり。時短のアイデアも取り入れている。娘と一緒に食べることも自分に課してないという。「娘が寝た後、妻の帰宅後に食べればいいかな。その時の気分で決めます」

 こうせねばと決めつけず、2人っきりの時間を娘も自分も機嫌よく過ごすことだけに集中。自分を縛らない今井さんの考え方は、気持ちをぐっと軽くしてくれる。

親に余裕のある日限定 料理を一緒に作ってみる

「僕が作っているところを見せたり一緒に作ったりすると、これから何を食べるのかわかるからか、食いつきがいいかも」

 とはいえワンオペでの夕食準備は余裕があるときばかりではないから、できる日だけ。

 「あっちでテレビを見ておいで」ということも。

2023.09.11(月)
Text=Kyoko Kato
Photographs=Wataru Sato

CREA 2023年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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