だが、前出のホワイトカラーの転職を手掛ける女性コンサルタントはこう解説する。

「英語が堪能で、購買の仕事を続けてきてスキルもある。今は原材料の調達が難しくなっているし、仕事の需要はあると思いますが、大企業には『60歳ですか……』と年齢ではねられます。中小企業の場合、この年齢に用意できる年収は300万~400万円ほどの印象です。彼の場合はスキルがあるので、週2、3日の勤務なら行き先はある。本人は毎日働くことを希望しているので、掛け持ちする選択肢はあるでしょう」

 前出の女性コンサルタントは、転職市場についてこう話す。

「50歳を過ぎると転職は相当厳しくなりますが、50~54歳を見ると、近年の傾向としては、様々な部署を経験したジョブ・ホップ型より、一つのことに従事してきた人が好まれます。企業としては、何か足りないと考えた時に、そうした人材が埋めてくれると期待するようです」

 

73歳まで会社側の希望で継続雇用した例

 その傾向は、定年を迎えて継続雇用する時も同様のようだ。

 ある中小企業の男性社員は、会社側の希望で継続雇用を続けて今年73歳。経理・財務を長年担当し、資金調達の交渉から銀行に提出する書類作りまで、他に代わる人がいないのだという。

 また信用調査の世界でも、企業情報を収集する有能さを買われ、72歳まで働いた男性社員がいた。何かスキルを持つことが、職業人生を豊かにすることをあらわす例だ。

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定年以降のマネープランにおいて重要な住宅ローン返済、50代でもスキルを磨き成功した転職の例、岸田政権が目指す「ジョブ型」労働市場への転換など、全文は『週刊文春WOMAN2023夏号』に掲載されています。

2023.07.04(火)
文=坂田拓也