また、先の高島屋の展示を5月30日にやはり3人で鑑賞しに行っており、その様子が翌日に報道された。そのなかでは、それぞれの会話や感想が詳しく紹介されている。ロールスロイスや当時の映像を見た天皇は「懐かしいですね」、皇后は「ちょっと恥ずかしい」と述べたという。特に皇后の様子は「照れたような笑顔」だったと表現されている。どこか私たちと同じ雰囲気を漂わせる。
現代っ子で天真爛漫な愛子さま
愛子内親王が学習院女子高等科を卒業した日の写真の前では、愛子内親王が「この日は前髪を切り過ぎちゃったのよね」と言い、一家で声をあげて笑う場面があったことも報道されている。さらに、愛子内親王が天皇にプロポーズの再現を促す場面もあり、天皇は苦笑いしていたとまで伝えられた。微笑ましい一家の姿である。
コロナ禍で天皇一家の様子が伝えられることも少なくなっていたが、今年に入り外出の増加とともに再びその様子が伝えられるようになってきた。その時、愛子内親王が一家の結節点となっているかのような印象を受ける。同じ内親王でも、上皇上皇后夫妻を立てて一歩下がって支えるかのような第三子の清子内親王と、一人っ子らしい現代っ子で天真爛漫な愛子内親王とでは違いがあるようにも見える。これが平成と令和の違いだろうか。
過度に期待する言説は避けるべき
とはいえ、愛子内親王に過度に期待する言説は避けるべきではある。そうすると、愛子内親王にとってプレッシャーになってしまうだろう。また、何かの拍子に強い批判へと転じる危険性がないとも限らない。20代の内親王の等身大の姿が、今後より見えてくることを期待したい。
そして、今回の結婚30年に際しての「ご感想」には「世界や社会の変化はこれからも続くものであり、そうした変化に応じて私たちの務めに対する社会の要請も変わってくるものと思われます」との文言もある。私たちが象徴天皇のあり方を引き続き考えることが、「社会の要請」にもなっていく。天皇皇后から投げかけられたボールを私たちは受け止め、一緒に考えていく必要があるだろう。
2023.06.23(金)
文=河西秀哉