昨年の「ytv漫才新人賞」「ABCお笑いグランプリ」優勝、「M-1グランプリ」決勝進出、先日の「上方漫才大賞新人賞」受賞……と躍進が止まらないお笑いコンビ、カベポスター。「R-1グランプリ」「千原ジュニアの座王」「探偵!ナイトスクープ」など、最近ではピンのお仕事でも魅力を爆発させている永見さんに、Twitterで見つけると嬉しくなる、あの「一言」について詳しく聞いてみました。

「世界で1人は言ってるかもしれない一言」は“ほんまにどっかで誰かが言ってる”言葉

――実は以前にもご紹介させていただいたのですが、永見さんがnoteやTwitterに投稿している「世界で1人は言ってるかもしれない一言(その名の通り、世界のどこかで誰か1人くらいは言っていそうな一言のこと。詳しくはTwitter「#世界で1人は言ってるかもしれない一言  from:kp_nagami」で検索を。以下「一言」)」が大好きなんです。

 ありがとうございます。

――投稿された日付を見ると、始めたのは2020年4月頃でしょうか? そもそも、始めたきっかけは?

 Twitterだと「#世界で1人は言ってるかもしれない一言」というハッシュタグでつぶやき始めたのがその頃(2020年4月頃)で、その前にも「#どこかで誰かの一言」っていうハッシュタグでつぶやいてたんです。いつからやっていたかは忘れたんですけど、それが始まりですね。

 あるとき、「Twitterで告知しかしてないなぁ」って思って。いろんな人に見てもらえるものなので、「なんかできないかなぁ」って。あと、当時はライブを月に数えるくらいしかしてなくて、ほんまに暇だったので。「ひとりで気軽にできることないかなぁ」って。

 もともと、ふかわりょうさんのネタとか、さまぁ~ずさんの「悲しいダジャレ」とか、一言ネタみたいなものが好きだったんです。(「一言」も)漫才のネタじゃないところでできることやなと思ったので、やってみようと思いました。

――そういえばカベポスターの漫才のツカミ「確かにお前の言う通り~」というのも一言ネタ的な側面がありますよね。ちなみに「一言」は、今いくつくらいストックがあるんですか?

 400個くらいです。ボツになったやつもあるんですけど。

――400個! いつもどうやって作っているのか気になります。

 そうですね……例えば「『渋滞』で考えてみよう」っていうように、単語から考えています。そこから思いついたら「出来た!」って感じですね。思いつかないこともあるんですけど。

「お前って口を開けば渋滞情報だな」

――単語を起点に考えているんですね。その単語はどうやって選んでいるんでしょう?

 誰かが作った「単語ガチャ」っていうサイトがありまして。ゲームアプリのガチャみたいな感じで、ボタンを押したら単語がただただポンポン出てくるっていうサイトなんですけど。ボタンを押してみて、気になる単語が出てきたら「これで考えてみよう」っていうこともあります。

――そんなサイトが存在するとは。自分の頭には全くないものが出てきそうですね。

 そうですね、「そういえばこの単語のこと考えたことないなぁ」とかあるんで。

 初めは自分の中にある単語でやってたんですけど、あるとき(「ドラえもん」の)のび太くんみたいな感じで「単語がランダムに出てくる道具ないかなぁ?」って思って、検索したら出てきたんです。他の人がこれをどういう目的で使っているかは分からないですが……。

――普段、気になった言葉を携帯のメモとかにストックされているのかなぁと思っていました。

 それもたまにはありますね。「なんかおもろいぞ、この言葉」って。そういえば「シュノーケル」はそうやったかもしれないです。

「シュノーケルを取ってから鳥居をくぐりなさい」

  「『シュノーケル』ってなんかおもろいな」って思ってメモっといて、あとで振り返って考えてみたり。

――読んでいると、「一言」を口にしている人につい思いを馳せてしまいます。彼らになにか共通点はあるんでしょうか?

 よい「一言」の共通点ということで言うと、ほんまに追い込まれている状態の言葉といいますか。その言葉を言わざるを得ない人、自然とその言葉が出るような状況に追い込まれた人の一言になるよう心がけてるというか。気づいたらそうなっていますね。

 (逆に)「あんまりうまいこと思いつかんかったなぁ」っていうやつは、台詞っぽいというか、おのずと出た言葉っぽくないやつですね。

――作為的というか、作った感が出るとよくない、ということでしょうか。

  「ほんまにどっかで誰かが言ってる」っていうコンセプトがあるので、作り物っぽくしたくないっていうのはありますね。

――どれも想像が膨らむ、自由律俳句みたいな一文です。「一言」から続きのストーリーを考えることはありますか?

 自分ひとりでは考えたことないですね。ただ、Dr.ハインリッヒさんたちとやっているユニットライブ「C2P2」で面白がっていただいて、(そのライブの中で)「一言」をどう解釈するか?というコーナーをやってもらったことがあります。

 あと、令和喜多みな実の野村(尚平)さんが、「いつか『一言』から始まるドラマやりたいなぁ」って言ってくれたりして。ご本人は覚えていないかもしれませんが。

2023.06.23(金)
文=ライフスタイル出版部
撮影=榎本麻美