「重さ15キロほどある十二単の着付けや、髪を『おすべらかし』と呼ばれる独特な形に結うために、この日雅子さまは4時すぎに起床したといいます。6時すぎには東宮侍従長らが小和田邸に迎えに上がり、ご家族に見送られて実家を旅立ちました。雅子さまは前夜、ご両親や2人の妹さんに小物入れやアクセサリーをプレゼントされています」(別の皇室記者)

「末永く仲良く暮らすことを誓う」告文を読み上げる

 回廊を進む姿はNHKが中継したが、内陣に入るとお2人は参列者からもカメラからも姿は見えなくなる。神前に玉串を捧げて拝礼を行なった後に、天皇陛下が万葉仮名で書かれた告文(つげぶみ)を読み上げた。

「告文の内容は『末永く仲良く暮らすことを誓う』といったものです。このときは外で待つ出席者も起立していましたが、当日は前夜からの大雨が続いていて、屋根に跳ねる雨音もあってか内陣の声は聞こえなかったそうです。その後外陣でお神酒を飲み、儀式は終了。この間約15分でした。雅子さまはとても堂々とした雰囲気でした」(同前)

 雅子さまの覚悟は、リハーサルにあたる数日前の習礼(しゅらい)の場でも垣間見えたという。当時、祭祀の実務を担当する掌典補として雅子さまの先導を務めた三木(そうぎ)善明氏が当時を懐かしそうに振り返る。

 

「感銘を受けたのは、習礼の後の写真撮影のときですね」

「賢所の部屋へご案内したときはものすごく緊張されているご様子でしたが、終わってお車へお帰りになる際にはホッとしたご表情をされていたのが印象に残っています。感銘を受けたのは、習礼の後の写真撮影のときですね。朝から頭も結って装束をお付けになられていたので相当お疲れのはずでしたが、いざ撮影でカメラマンが『頂戴します』と声をかけると、ニコッと実に綺麗な表情をされていました。儀式の段取りも多いですし、肉体的にも精神的にも大変なプレッシャーだったと思いますが、本当にいい写真になっていました」

 つつがなく結婚の儀を終えたお2人は、朝見の儀で現在の上皇ご夫妻にお礼を述べると、二重橋前から東宮仮御所まで4.2kmのパレードを行ない、沿道に駆けつけた19万人の民衆から盛大な祝福を受けた。

 それから30年――。2001年には愛子さまもお生まれになり、告文で読み上げた通りに仲睦まじく時を過ごされてきた両陛下。結婚25周年の際には文書でお互いへの感謝の気持ちを示されていたが、今年はどんな言葉を寄せられるのだろうか。

2023.06.22(木)
文=「文春オンライン」特集班