――でも、その元相方が YouTubeに誘い、ファーストテイク動画に導いた。ドラマがありますよ。誰かがきちんと見ているんだなと思わされます。

ほしの すごくうれしいです。星野一成名義で曲まで出していただけるなんて、夢にも思っていなかったですから。ミュージシャンになりたいという夢まで叶って、今では自叙伝まで出させていただいて。ただ、病気のことを書いたことで、いろいろなリアクションがくると思うんです。

 今、一番心配なのは、自分がコントをしたときなどに笑ってもらえるのかなという不安。僕はお笑いに人生を救ってもらったから、一生芸人でい続けたい。病気があったとしても自分次第でどうにでもなる――そういったことが『星屑物語』を通じて、うまく伝わってくれたらと思っています。

 何か障害や病気を抱えていても、自分のやりたいことや将来の夢があるならあきらめる前に、少しチャレンジしてみてもいいかなって感じてくれたらうれしいです。背中を押すことはできないですけど、背中をさするぐらいの感じといいますか(笑)。

 

あこがれの「笑いの取り方」

――背中をさするぐらい(笑)。いい言葉ですね。

ほしの 責任は取れないので(苦笑)、背中をさするぐらいの本になってもらえたら。あきらめずに続けたことによって得たよろこびというのは、何よりも質の高いよろこびな気がするんです。

 些細なことでもいいと思うんですよね。小学生のとき、初めて『笑う犬の冒険』を見て、すぐに夢中になってお笑いにハマりました。僕は見よう見まねでコントのモノマネを、クラスの女子の前でやってみたんですけど笑ってくれて。

 それが、めちゃくちゃネガティブだった自分の成功体験になって、今につながっている。先が見えない不安ってすごくつらいことなんですけど、何かちょっとした光が見えたら変わるんじゃないかなって。

――ほしのさんからは、お笑いにしても歌にしても「やさしさ」を感じます。“傷つけない”というやさしさではなく、“許容する”といったようなやさしさというか。

2023.05.27(土)
文=我妻 弘崇