沖縄の社会課題を解決するビジネスコンテスト

 そして、イベント企画では「島ラブ祭 ソーシャルビジネスコンテスト Powered by Yunus Social Business」が開催。これは貧困、教育、環境など沖縄のさまざまな社会問題を解決するためのビジネスアイデアを競うもの。

 司会進行は、ガレッジセールのふたりとハンドクラップのよすみさんが務めました。

登壇者は皆、熱のこもったプレゼンテーションを展開

 会場では4ヶ月間のアカデミーを通じて、メンターと共に社会問題を解決するビジネスモデルやマインドセット、ソーシャルコンセプト作りについて学んだ参加者が、その集大成として自身の事業モデルをプレゼンテーション。全15事業が順番に紹介されました。

 例えば、「NPO法人たいようのえくぼ」が目指すのは、沖縄の子育て情報を集約したポータルサイトづくり。「Harmo 沖縄」は肥満率が全国1位の沖縄県民の健康状態を改善すべく具沢山で栄養たっぷりのじゅーしー(炊き込みご飯)をプロデュース。部活動における他県への遠征試合でかかる航空運賃や宿泊代の負担を、子どもたちが自ら稼ぎ出す方法を提案する「りっか」。ほかにも魅力あふれる提案が次々と飛び出し、沖縄のことを深く知るきっかけにもなったイベントでした。

全15事業の中から大賞に選ばれたのは……

 すべての発表が終了すると会場のみなさんが応援したい事業にスマホから投票を行い、大賞となる「島ぜんぶでうむさんラブ賞」が決定。栄冠に輝いたのは、安心して最期を迎えられる沖縄にすることを目指す「看取り沖縄」です!

 自身の経験を交えながら涙ながらに看取りの必要性を客席のみなさんに語りかけたのは、「看取り沖縄」の安里裕子さん。その温かくて深い思いは多くの人の心に響きました。

カード決済するだけで、沖縄の社会課題解決を支援!

 また、会場では沖縄の社会課題解決を支援するための手段のひとつとして、「島ぜんぶでおーきな祭」公式クレジットカード「島ぜんぶでおーきな祭ファンカード」の発行も発表されました。

 このカードはナッジとよしもとラフ&ピースが共同で立ち上げたもの。ナッジとは同社の提供するクレジットカードで決済するだけで、利用金額の一部が好きなスポーツチームやアーティストに寄付され、それによって応援できるサービスを提供する金融ベンチャー企業です。今回はこの仕組みを取り入れることで「島ぜんぶでおーきな祭ファンカード」クラブに加入してカードで決済すれば、利用金額の一部が沖縄の社会課題解決の支援に活用されるようになります。これによって県内の子ども食堂の支援や、子どもたちの遊びと学びの向上の実現を目指します。

発行のハードルの低さも特徴

 一般的なクレジットカードとは異なり、アプリで簡単に申請でき、AIなどを駆使した独自の審査と、限度額を低めの10万円に設定することで、アルバイトや学生でも発行されやすいことも「島ぜんぶでおーきな祭ファンカード」の特徴のひとつ。これによってより多くの人たちが沖縄の課題解決に参加できるようになるというわけです。

2023.05.07(日)
文・写真=石川博也