お散歩気分でぶらぶらと。路地裏の素朴系マーケット

住宅街の一角に立つマーケットは、日用品やアクセサリーが充実

 市庁舎前やベルヴェデーレ宮殿前など大規模なマーケットも楽しいけれど、あえておすすめしたいのが、ウィーン市内のあちこちの路地に立つ小さなマーケットの数々。住宅街の一角に十数軒のスタンドが立つ程度ですが、地元アーティストの手作りアクセサリーや食料品などが販売されていて、日曜市のような素朴な雰囲気を味わえます。大規模な会場のようにツリーのライトアップやイルミネーションがないので、夜に行く必要はありません。昼間の明るいうちに出かけて、お散歩気分で買い物やグルメを楽しむのがいいでしょう。

クリスマスマーケットに欠かせないホットワインの屋台。地元密着型でのんびりした雰囲気

 スタンドのなかには地元の食料品店が出店しているものもあって、食べ歩きも楽しみのひとつ。大きな会場では大行列覚悟のホットワインも気軽に買えちゃいます。地元の人が多いせいか、マーケット全体の空気がいたって穏やかでのんびりしているのもいいところ。いろいろな種類があって悩んでしまうホットワインも、店主が優しく説明してくれました。ウィーンっ子になった気分で、自然体のお買いものができるのが素朴系マーケットの一番の魅力かもしれません。

こちらは燻製専門店。チーズやお肉の燻製がずらり!

 こうした街角のマーケットを見つけるコツは、市内をぐるりと一周する路面電車に乗ること。車窓を眺めているとあちこちに小さなマーケットが見えるので、気になった場所で降りて歩いてみるといいのです。一見すると同じような趣のマーケットでも、路地によってスタンドの種類や雰囲気はさまざま。その地区の生活を覗き見するような感覚で、街歩きと合わせて楽しむのもおすすめです。

 地元密着のスタンドが多いだけあって、日用品を扱う店が豊富なのも素朴系マーケットの特徴。東欧風のかわいい台所用品やリネン類など、ヨーロッパらしい小物がお値打ち価格で買えることもあるのでチェックしてみてください。

オーストリア航空
URL www.austrian.com

オーストリア政府観光局
URL www.austria.info/jp

小林百合子(こばやし ゆりこ)
フリーランス編集者。出版社勤務を経て独立。旅やアウトドア、自然にまつわる雑誌・書籍の編集を手がける。女性向け山岳雑誌『Hütte』(山と溪谷社)の編集を務め、女性らしい視点で登山の楽しみ方を提案している。著書に『山と山小屋』(平凡社)がある。

田部井朋見(たべい ともみ)
写真家。大学中退後、ファッション関係の出版社に入社。退社後、フリーランス。ファッションやレコード、CDジャケット、写真集などの仕事に携わり、海外取材も、60カ国を超える。特に、オーストリアは50回以上滞在。文と写真を手がけた著書に『ウィーンのカフェハウス』(東京書籍)がある。オーストリアのように、水道水の美味しい国が大好き。

Column

冬のオーストリア クリスマスをめぐる浪漫旅行

きらびやかなイルミネーションが街を彩り、一年で最もロマンティックな季節を迎えるヨーロッパ。なかでも、クリスマスマーケットの文化が根付いたオーストリアはとてもロマンティック。乙女心をくすぐるウィーン、ザルツブルク、インスブルック、3つの街をご案内します!

2013.12.07(土)
小林百合子=取材・文
田部井朋見=写真