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世の中は数学であふれている

――絹田さんは文系だそうですが、連載を重ねることで「大学数学を理解した」という気持ちは湧きましたか?

絹田 ないですね。数学自体が積み重ねが必要な学問なので難しいです。私が扱っているのは上澄みだけ。取材相手の知人の話を、わからないなりにメモしている状況です。

――漫画では大学数学をわかりやすく描いていますよね。ストーリーは、数学のネタから広げていくんですか?

絹田 数学のネタにストーリーを肉付けすることもあれば、キャラクターのストーリーありきで数学のネタを探すことも、両方あります。例えば、9巻に収録される第47話は大学入学共通テストがテーマで、数学のネタが最初にあったパターン。一方、第49話ではキャラクターの引っ越しというストーリーが先にあって、後から「パッキング問題」という数学のネタを探してきました。

 実は、世の中って数学であふれているんですよ。だから、ストーリーを先に決めても、ネタを探せば何かしら出てくるので、助かっています。

――数学のネタは、書籍などから探しているんですか?

絹田 専門書を読んでもわからないので、基本は取材相手の知人頼みです。

 数学の解説はインターネットにもたくさん載っているのですが、本当に合っているのか私では判断がつきません。だから、気になるものがあれば、知人に確認しています。あとは、科学雑誌『Newton(ニュートン)』(株式会社ニュートンプレス)から着想を得ることもありますね。

――そうなんですね。漫画のタイトルは数学ではなく『数字であそぼ。』ですが、これにはどういう意図があるんですか?

絹田 難しいものをわかりやすく載せる、という意味もあって、NHKのTV番組「えいごであそぼ」というタイトルからもじっています。本当は「数学であそぼ」の方が正しいのでしょうが、最後は語呂で決めました。

2023.03.09(木)
文=ゆきどっぐ