早逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子、クーパー・ホフマンと、姉妹バンドHAIMの三女アラナ・ハイムのキャスティングが、「どうやってこんな絶妙な人を見つけてきたのか?」と思うほどにハマった。2人が15歳の少年と25歳の女性の、その年齢なりの未熟さを体現して、愛おしい。

 

1位:『トップガン マーヴェリック』――納得の第1位!トム自身の映画人生も反映された一作

 第1位の栄冠に輝いたのは、当然と言うべきか『トップガン マーヴェリック』。トムも思わずガッツポーズだ!

「パッと反射的に考えたのは『トップガン マーヴェリック』をどこに置くか? ということでした」(森直人)とのコメントがあるほど、ランキングに入れて当然と考えた人が多かった模様。

「『トム・クルーズという奇蹟』を堪能。最高にカッコいいスターが最強のヒーローを演じる、娯楽映画の王道」(春日太一)

 そう評されるのも納得の一作。

 前作が公開されたのは実に36年前。その年月を、「かつて花形だったが、ドローンの台頭で時代遅れになりつつある戦闘機パイロット」という劇中の役柄と、「CGを駆使したアクション映画が台頭する時代、生身のアクションに愚直に取り組む現実のトム自身」に重ねた脚本が見事。「でも、今日じゃない」(But not today)のセリフに目頭が熱くなった人も多いはず。

 そしてもう1つ、特にアメリカではコロナ禍で多くの映画館が休館し、配信サービスの普及もあって「もはや映画館に人は来ないのでは?」と思われていた。そこへ、「人はなぜわざわざ家を出て映画館に行くのかを思い出させてくれた」(猿渡由紀)という、映画文化への貢献の大きさも特筆すべきだろう。

「予定が変わったから一緒にお茶を飲もう」トム・クルーズの通訳を続けた戸田奈津子が見た「彼が“一発屋”にならなかった理由」 へ続く

2023.01.07(土)
文=「週刊文春CINEMA!」編集部