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知れば知るほど奥深い軍艦島の歩み
長崎港から約18km離れた場所に浮かぶ、通称”軍艦島”をご存知ですか? 見た目が軍艦に似ていることからそう呼ばれていますが、正式名称は端島。北九州の八幡製鉄所に送る石炭を採掘するため、岩礁を埋め立ててできた人工の島です。炭坑の創業は1890年で、1974年の閉山によって無人島になりました。
海岸線の長さは1.2km、最高標高47.7mの小さな島ですが、最盛期の1960年には5300人以上が暮らし、当時、世界一の人口密度だったそう。
そして、2015年7月には世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として正式登録。映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』などの映画やアーティストのMVなどのロケ地としても知られています。
そんな世界でも類を見ない歴史をもつ軍艦島。実はツアーに参加することで、上陸できるチャンスがあるんです!
でも、せっかく上陸するなら、軍艦島についてしっかり理解してからのほうが、ツアーの価値がより高まりますよね。
上陸前に立ち寄りたい軍艦島のミュージアム
軍艦島上陸ツアーに参加する人はもちろん、そうでない人も長崎を訪れたらぜひ立ち寄りたいのが、ツアーの受付場所にもなっている軍艦島デジタルミュージアムです。
こちらでは軍艦島について、その歴史や当時の住人の暮らしぶりなどさまざまな情報をデジタル技術を駆使しながら紹介しています。
例えば、上陸ツアーでは見ることのできない立入禁止区域にVR技術を使って仮想上陸したり、全長30メートルのスクリーンに約3000枚の写真を投影することで、当時の様子を臨場感たっぷりに鑑賞できたり。興味を刺激する展示方法も相まって、館内にいるだけで軍艦島の魅力にぐいぐいとひきこまれていきます。
アナログ形式の展示も充実!
デジタルミュージアムでは、アナログ形式の展示も充実しています。例えば、軍艦島の暮らしを象徴するのが、最盛期に30棟以上が密集していたアパート。館内には1950年代後半頃の部屋の様子が原寸大で再現されています。
実は軍艦島の人たちは高給取りで、豊かな生活を送っていたそうですが、室内に置かれたテレビやオーディオなどの家電を見れば、それも納得。
また、住民たちが端島炭坑の安全を祈願した端島神社をセットで再現。頭で理解するだけでなく、体感ができる展示はわかりやすくて良いですね。
2022.12.29(木)
文・写真=石川博也