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歴史の教科書で見聞きした出島にタイムスリップ!

 江戸時代に日本が鎖国する中、西欧に対して唯一門戸を開いていた場所が出島です。1636年に築造され、1641年に平戸からオランダ商館が移転。1859年に商館が閉鎖されるまで、218年間にわたって貿易の拠点として機能し続けました。

 オランダから輸入していたおもなものは、生糸、胡椒、砂糖、ガラス製品など。輸出していたのは、銀、銅、陶磁器、漆製品などになります。

 その後、役割を終えた出島は、周囲を埋め立てられて原形を失いますが、1951年に長崎市が復元計画をスタート。これまでに16棟の建物が当時の復元に成功しました。

 出島に足を運び、中を自由に見学できるのは、考えてみればすごいことですよね。

資料に基づき、精度の高い復元を実現している

 出島内の建物は、役割が明確になっているのが特徴です。例えば、カピタンと呼ばれるオランダ商館長の事務所や住居として使われていた建物や、オランダ人の書記の長が住んでいた建物、砂糖や銅を保管する蔵など。

 復元に際して、壁紙の色や家具、調度品などの選定は確実な資料に基づいて行われているため、資料が見つかっていない箇所に関しては、なにも手が加えられていません。それほど当時の姿に忠実かつ精度の高い復元が行われているのです。

橋を渡れば、江戸時代同様の光景が広がる!

 2017年に完成したのが、出島表門橋です。当時は長さが4.5メートルの石橋でしたが、川幅が30メートルに広がったため、出島の景観に合うデザインを採用した現代の橋がかけられました。これによって当時の人たちと同様に橋を渡って出島に出入りすることが可能となりました。広々とした橋を渡れば、江戸時代へタイムスリップ! 橋の先に別世界が広がっているのはおもしろいですよね。

 島内の建物のひとつで、1903年に長崎在留の外国人と日本人の親交の場として建てられた旧長崎内外クラブの中にはレストランもあり、長崎県産の食材を使った料理や、オランダの名物などがメニューに並びます。

 出島の雰囲気をどっぷりと味わいたい時は、長崎内外俱楽部レストランで食事をしながらゆっくり過ごすのも良さそうです。

出島

所在地 長崎県長崎市出島町6-1
電話番号 095-821-7200
開園時間 8:00~21:00(最終入園受付は20:40)
※現在、出入口は表門橋のみ
定休日 無休
https://nagasakidejima.jp/

2022.12.29(木)
文・写真=石川博也