キャラクターに落とし込めたという“特技”
――演じた役に付いて教えてください。
僕が演じる阿川大悟という役は警察官で、柔道をやっている人なんですが、僕も実際に10年くらい武道を習っているんです。武道には「型」があるので、ボクシングをやっている人なんかとは動きのニュアンスがちょっと違うんですよね。
アクションもやっているんですが、マンガっぽいカチッとカッコよくキメるアクションというよりは、ちょっと泥臭い生々しさというか、「ケンカってこういう感じだよね」というリアリティのあるアクションなんです。
そういう部分で、自分が武道を習っていることがキャラクターに落とし込めたんじゃないかなと思います。
――ご自身のアクションシーンで「ここは見てほしい」という場面はありますか?
3話の冒頭に、ある男性をベルトで持ち上げて引っ張るシーンがあるんですよ。撮影の前に結構筋トレとかして鍛えてたんですが、その場面では、筋トレで培ったパワーをすごく感じました。自分では普通だったんですけど、なんか軽々と持ち上げてたんですよね。
カメラマンの方に「熊が人を持ち上げてるみたいだね」って言われて、ああそういう風に見えるんだって。そこを見てほしいです。相手の俳優さんはすごい脱力してるので、その脱力と筋力の対比を(笑)。
――監督とはどんなことを話しましたか?
監督が「互いを監視する社会の怖さ」みたいなことをおっしゃっていましたが、今の時代ってネットによる監視、例えば「誰々があそこを歩いてた」とかいうことがあるじゃないですか。
それは僕の様な俳優という仕事についている人に限った話ではないと思うんですよね。そのボーっと油断していられない感じは、すごく怖いなと思うんですよね。
監督とはそういう部分を話しました。主人公の大悟が、村の監視の中で孤独になってゆくプロセスを、エンタテイメントとしてどうやって作り上げていくか。もちろん答えが見つかるわけではないんですが、すごく充実した撮影でした。
2022.12.28(水)
文=渥美志保