顔認証と指紋認証──Pixelは両方に対応するも弱点あり?

 両製品の大きな違いは生体認証です。従来モデルでは、iPhoneが「顔認証」、Pixelは「指紋認証」と、方式がはっきりと分かれていました。このうちPixelは、画面に内蔵された指紋認証センサーの精度がお世辞にも高くなかったため、ストレスを感じることもしばしばでした。

 今回のPixelは、指紋認証に加えて顔認証にも対応したことで、利便性が一気に向上しました。顔認証はアプリごとのロック解除に使えないなど、あくまでも指紋認証の補助という位置づけですが、その指紋認証のレスポンスも向上しているため、従来のようなストレスを感じません。Pixel 6やPixel 6 Proのユーザは、これだけでも買い替える価値はあります。

 一方のiPhoneは、画面を横にした状態でのロック解除や、マスク装着中のロック解除に新たに対応するなど進化の跡は見られるものの、顔認証特有の、毎回画面を見なくてはいけないわずらわしさは以前と変わりません。ただPixelも、指を乗せる位置を確かめるために画面を見なくてはならず、どちらも一長一短かな……というのが、両者を使った上での個人的な感想です。

 

望遠撮影──Pixelの30倍ズームはiPhoneを圧倒

 Pixelは、最大30倍のズームを搭載するのがひとつの目玉です。カメラの操作画面を見ると、これまでの「4x」(4倍という意味)に代わって「5x」というアイコンが表示されており、デジタルズームと組み合わせて最大30倍での撮影が行えます。iPhoneは光学3倍、デジタル15倍が限界ですので、風景写真など、遠くを撮影する場合にはPixelに分があります。

 もっとも実際の撮影シーンでは、こうした望遠系のレンズを使う機会は決して多くなく、むしろ1~3倍程度の低い倍率を小刻みに切り替えられるほうがありがたい人も多いのではないでしょうか。今回のPixelの場合、光学2倍から5倍へと急拡大されてしまうため、日常的な撮影では逆に使いづらくなった印象です。

2022.11.18(金)
文=山口真弘