「アイスは少し溶かしてから食べるとおいしい」って、たまに聞くでしょう? あれは温度を少し上げることで、ソフトクリームのような、いわば“できたて”の状態に近づけるということなんです。

――おいしいソフトクリームの構成要素とは、どんなものでしょうか?

森川 新鮮な牛乳です。ただ大手ソフトクリーム総合メーカーである「日世」さんが展開しているソフトクリームミックスは非常にレベルが高くて、それを使えば充分おいしいんですよ。さらに上を目指すとなると、牛の育て方からこだわった牛乳など、原材料まで突き詰めていく必要があります。

 

通称「ソフトクリーム界のフェラーリ」価格は200万円

――ソフトクリームを抽出するサーバーは、そこまで味を左右しないのでしょうか? 「ソフトクリーム界のフェラーリ」と呼ばれる高級マシンがあると聞きました。

森川 カルピジャーニのことですね。カルピジャーニは、材料に空気を入れ込む機能が優れていて、ふわっと滑らかな口溶けのソフトクリームに仕上げてくれます。

 ただ、それは「適切にマシンを扱えば」の話。カルピジャーニには、原材料の温度や分解洗浄などの細かいマニュアルが存在して、使い方が難しいんですよね。導入するお店は増えていますが、使いこなせているところは少ない。「これなら一般的なマシンで充分なんじゃ……」と感じることも正直多いです。

――ちなみにそのお値段って……?

森川 200万円です。

――200万円!

森川 値段だけ聞くとびっくりするかもしれませんが、他のメーカーでもちょっと良いマシンを買おうとすると150万円くらいはするものなんですよ。だから実はカルピジャーニだけが飛び抜けて高価なわけでもありません。高性能ゆえの扱い方の難しさも含めてスーパーカーのようだ、ということですね。

――カルピジャーニの真価を発揮しているお店を教えてください。

森川 祐天寺の「ジェラテリア アクオリーナ」です。土日限定でソフトクリームを提供しているジェラート屋さんで、ここはマシンを完璧に使いこなしています。

2022.10.19(水)
文=原田イチボ@HEW