不思議な老人と、高校生と中学生の兄妹による会話を通じ、地理的条件から国際政治をわかりやすく解説した本書がヒット中。
「国際政治記者の著者が本書を執筆したきっかけは、自身の13歳になる息子に世界で起きていることについてわかりやすく伝える本を探しても見つからなかったことでした。私自身、国際ニュースを見ても、前提知識が乏しく理解が難しいことにコンプレックスがありました。しかしこれならば、今世界で起きていることの基礎がわかりやすく学べると思いました」(担当編集者の若林千秋さん)
世界の船の行き来を仕切るアメリカが最強である理由、「遠交近攻」の外交テクニック、地形で決まる国の運不運、なぜ戦争を起こそうとするのかなど、世界情勢の見方が多岐に渡り描かれている。発売日がロシアによるウクライナ侵攻の翌日であったことも、売れ行きを後押しした。タイトルに「13歳から」とあるとおり、中高生からウクライナ情勢について子供に説明するために読んでいるという大人まで、読者層は幅広い。
「親が戦争を経験した世代の方から、『孫に戦争や平和について考えてほしくて読ませています』というメッセージをいただいたときはうれしかったです。本書が世界に目を向け、今起きていることについて考え続けるきっかけになることを願っています」(若林さん)
2022.10.11(火)
文=長谷川未緒