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 「キャリアと出産を両立できるようになる」と注目を集めた卵子凍結。実際に凍結した女性、出産に至った女性が語った「現実」とは?

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自分の人生を建て直す。その第一歩が“一人でできる妊活”

 看護専門学校一年生の知子さん(仮名、38歳)は学業に専念するため、入学前の3月に卵子を凍結しておいた。

「30歳で結婚し、7年間授からなかったので不妊検査を受けたところ、私に問題はありませんでした。原因が男性にある場合も多いと知っていたので夫にも検査を促しましたが、その話になるといつも話題を逸らす。挙句にはコツコツ貯めてきた出産費用でクルマを買おうと言い出したので、ああ、この人は問題に向き合おうとしない人なんだなと、即行で離婚しました」

 離婚を機に、一生続けられる職業として看護師を目指すことにした。再婚もして今度こそ子どもがいる家庭を築きたい。

「看護専門学校が3年、その後実地で一年働いて仕事を覚え、それから婚活です。でも、そのとき私は41歳で妊娠できるかどうかビミョー。だから卵子凍結しておいたんです」

 離婚するまで勤めた会社の退職金を学費と卵子凍結費用に充てた。少し余ったので、もう一度採卵手術を受け、保存する卵子の数を増やしておくつもりだ。

「二十代の妊娠・出産が望ましいのは生物学的に事実」

 第一回目に登場した明子さんや知子さんのような健康な女性の卵子凍結は医療と見なされず、医療的サービスという位置づけで実施している施設が国内に十数軒あると見られる。

 大阪市のオーク住吉産婦人科では2010年に健康な女性の卵子凍結を始め、卵子凍結セミナーを隔月で開催している。講師を務めるのは同院の船曳美也子医師だ。

「20代の妊娠・出産が望ましいのは生物学的に事実です。だから20代で結婚して出産しろというのは簡単ですが、できなかった場合はどうしたらよいのかという現実的な課題が残り、女性たちはこれに苦しんでいる。私は、少しでも若い卵子を凍結しておく技術があることを正確に伝えるのも産婦人科医の務めだと思っています」

【Column】卵子凍結にかかる費用は50万~100万円!

卵子凍結保存は健康保険の適用外。料金はクリニックによって異なり、また、人によって排卵誘発の方法、使用するクスリが違うので、かかる費用も異なる。

オーク住吉産婦人科(大阪市)の一例(2016年時点)
・診察料:780円×7回=5,460円
・ブセレキュア(排卵誘発の点鼻薬):8,200円
・フォリルモン(ホルモン剤)注射:3,560円×2回=7,120円
・HMG(ホルモン剤)注射:3,280円×5回=16,400円
・HCG(ホルモン剤)注射:380円
・注射手技料:180×8回=1,440円
・ルトラール(黄体ホルモンの内服薬):500円
・処方料:510円
・採卵手技料:100,000円
・凍結作業料:45,000円
以上に凍結した卵子4単位(1単位は卵子1~4個)
10年間の保管料:366,000円と消費税を加え、総額595,091円

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※週刊文春WOMANより転載
※記事内の情報は週刊文春WOMAN新春スペシャル限定版発売(2016年1月1日)時点のものです。

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2022.10.11(火)
文=小峰敦子