この調査地でのロードキル個体7頭分の胃内容物分析では、昆虫(直翅目と鞘翅目)およびミミズが多く、その他の動物食ではネズミ・ヘビ・カエル、コイなどの魚類およびカタツムリで、植物の種はブドウが1例、カキが2例、クワが2例出たのみであった。このカキとクワは食害とはいえないだろう。
大陸から日本にやってきた彼らの祖先が、長い時をかけてその形態や生理や行動を少しずつ変えながら、日本の温暖な海洋性気候と風土に合わせてきた。さらに、タヌキは小さな離れ小島や大都会でも生きていける高い適応能力を種として持っている。しかし、私としては、日本の里山に適応した彼らの暮らしが、人間のお隣さんで生きている生活が、この先も永く続いてほしいと思う。
《タヌキすごいぜ!》オックスフォード卒タヌキ先生が見た、一組の狸カップル「愛と逃亡の日々」 へ続く
2022.09.16(金)
文=佐伯 緑