人口3,000人あまりの島に約250倍の観光客が

 そして2010年、「瀬戸内国際芸術祭」がスタート。3年に1度開催される、国内外の有名アーティストが参加する、日本でも有数の芸術祭です。

 この芸術祭は、直島にとって、まさに起爆剤となりました。それまで年間の来島者が36万人だったのが、2010年には63万人に。さらに数は伸び続け、前回の芸術祭が開催された2019年には75万人に達しました。人口3,000人あまりの小さな島に、約250倍の人数が訪れるようになったのです。

 そして、2022年も瀬戸内国際芸術祭の年。春は終了しましたが、夏8月5日~9月4日、秋9月29日~11月6日で開催されます。

 私が訪れたのは、春と夏の開催期間のちょうど合間。会期中にかち合わなかったのを残念に思いつつ、「開催中の混雑がなくていいや」と自分を納得させるも、少々複雑な心境。

 そんな心境はさておき、高松から高速客船に乗り、約30分で直島へ。

 観光の拠点となるのは、西部の宮ノ浦、東部の本村(ほんむら)、南部の美術館エリアの3カ所になります。

 西部の宮ノ浦エリアは、海の玄関口。このエリアのアート作品には、草間彌生の有名な赤かぼちゃや、入浴もできる銭湯アート施設の直島銭湯「I♥湯」などがあります。道は細いけれど、セブン‐イレブンもあって、なにかと便利そう。

 東部の本村エリアは、室町時代後期に大名によって計画的に町造りが行われ、その名残が感じられます。時を経た家並みが続く路地を散策していると、家の壁に突然電話が貼り付いていたり、窓がギャラリーになっていたり。気を抜くと(?)、そこにアートがあったりします。家並みの合間には、古民家を改装したカフェやレストランが紛れていることも。

2022.07.30(土)
文・撮影=古関千恵子