#252 Shirafura
シラフラ(北海道・乙部町)
この真っ白な断崖絶壁は、ドーバー海峡のホワイトクリフ。ではなくて、北海道の滝瀬海岸にある「シラフラ」。実は、こんな絶景が日本国内にあるのです。
シラフラが位置するのは、北海道南西部の渡島(おしま)半島西部の乙部町。人口4,500人足らずの町には、観光客を呼び込むような大きな看板もなく、のぼりを立てた土産物屋もありません。背後に尾根、目の前に日本海が広がる、静かで小さな漁業の町です。
そもそも乙部町へやってきたのは、ネットで見つけたシラフラを一目、見てみたかったから。
実物は画像で見るよりも、圧倒的な迫力でした。高さ約30メートルの断崖が、500~600メートルも連なっているのです。茶色の砂浜と波しぶきの上がる日本海、そして白い断崖。ワイルドな大自然が生み出した、この地だけの色使いです。ちなみに、“シラフラ”とは、古い言葉で“白い傾斜地”という意味だそう。
乙部町公民館の学芸員、藤田巧さんによると、シラフラが誕生したのは約500万年前。噴火した火山から噴き出た軽石が海底に降り積もった軽石凝灰岩の地層だそうです。断崖が白い理由を聞くと、火山灰の中にシリカ質が多かったのでは? と。
2022.07.16(土)
文・撮影=古関千恵子