#253 Nao Shima
直島(香川県・瀬戸内)

 香川県・高松市の北約13キロ、岡山県の玉野市の南約3キロ、瀬戸内海に浮かぶ直島。日本の離島において、最も現代アート作品が多い島と言われています。

 島名は、保元の乱の崇徳上皇が讃岐へ配流される途中、直島に立ち寄り、島民の純真素朴さに心打たれて命名したそう。素直な人々が暮らす島、直島なのです。

 江戸時代、海上交通の要衝だった直島は幕府の直轄地となり、海運業や製塩業で栄えました。大正6年には直島の北部に三菱鉱業、現在の三菱マテリアル 直島製錬所が設立されます。これを機に直島はグンと発展。今も製錬所では貴金属の回収やリサイクル分野で世界レベルを誇るそうです。

 直島が現在の“アートの島”となった布石は、平成元年の福武書店、現在のベネッセホールディングスによる、直島文化村構想の一環である国際キャンプ場の開業でしょう。そして、その3年後にベネッセハウスがオープン。

 「日本の原風景が残る瀬戸内の島々に、現代社会へのメッセージ性をもったアートを置いたら、元気をなくしつつあった地域が変わっていくのでは」という発想のもと、アートと共生する島として、直島は歩き始めました。

2022.07.30(土)
文・撮影=古関千恵子