ーーいまでは問題もなく。 

アレジ 信号とかは、もう慣れました。スーパーもいつも同じところに行くから、どこが野菜、どこが肉、どこがお菓子とか、全部わかってる。

 ほんと、最初に来た時はぜんぶがわからなかった。料理するから、野菜とか肉の場所がわからないと大変で。しかも、日本語は読めなかったし。いつもお店の人に「すいません、これ探してるんですけど、どこで見つかりますか?」って。

 チームのオフィスや工場も、前はGPSがないと行けなかったけど、いまではGPSなし。ライフスタイルをゼロから始めなきゃいけないから、それが難しかった。 

 

英語、日本語、フランス語…家の中で使っていた言語は?

ーー唐突ですが、僕はお母様をゴクミと呼んでいた世代でして。今日、アレジさんとお会いして本当にお母様に似ているなと。当たり前なのですが。 

アレジ そうですか。よかった。日本では、あんまり言われないの。日本だと必ず「お父さんに似てる」と言われる。 

ーーあちらでは、アジアとのハーフであることを周囲からどう受け止められていました? 

アレジ 普通。子供の頃は、半分日本人だと言っても誰も信じないことが多かった。あんまり自分から話すこともなかったけど。 

 たまに、じーっと見られて「ああ、やっぱり少し日本人だ」って言われたこともあったけど、それはうれしかったの。やっぱり、僕にはアジアの面もあるから。髪の毛なんかも、他の子とは違う感じでね。日本のルーツが自分にあるってうれしいことだから。 

ーーインターナショナルスクールに通われていたそうですが、学校で話す言葉は英語になるわけですか。 

アレジ 学校では、フランコフォン(フランス語を主言語にする人)とアングロフォン(英語を主言語にする人)がいて。算数も歴史も、授業はぜんぶフランス語。英語は学校で習って、同級生と英語で話してた。それで、英語をすごく話せるようになって。 

ーー家でも会話は英語で? 

2022.08.02(火)
文=平田裕介