テレワークが話題となり早2年が過ぎた。今後、日本のデスクワーカーの就業形態はどのようになっていくのか……は、そちら方面の専門家に任せるとして、この騒動でにわかに注目を浴びたのが“仕事で使う椅子”。とりわけ、家の椅子環境は大きく変わったのではないだろうか。
会社では、もちろん各員のワークチェアは事前に用意されていて、自分で選んだりはできない。一方で、テレワークの自宅では自前の椅子に座ることになる。コロナ前なら帰宅後の短時間しか座らなかった椅子も、朝から晩まで座るとなると、俄然重要になったという読者の方も多いだろう。
私自身、これまでは旅行カメラマンを本業として国内外を旅し、様々な媒体へ写真を提供してきた。カメラマンにもいろんな業種があるが、旅行カメラマンだと、長時間椅子に座って画像をいじくる仕事があることはそうそうない。
しかしこの2年余り、出張ロケも減少し、仕事はジリ貧に。これはやばいと始めたのが、趣味が高じたアウトドア&DIY関連の原稿仕事だ。もともと書くのは好きだったので、仕事はスムーズに進み、おかげさまで好評を得ているようでそれはよかったのだが、その陰で悲鳴をあげたのは我が尻だった。
“出自”もあやしい現在の椅子から立ち上がり、まずは近隣の家具屋を数軒回ってみる
これまで使っていた椅子は、ネット通販で数千円で購入した大手メーカー製ワークチェアの模倣品。今改めて探しても、どのショップで買ったのかも分からない、怪しい商品。座面のクッションは半年も経たずにヘタれてしまい、ベースの金属部品が我が尻の肉を刺激する。背もたれは、力をかけるとギシギシと音を立ててしなるので、怖くて体重をかけての伸びもできないありさまだ。
尻の痛みと背もたれへの不信感から、着座中は背中から腰にかけて緊張感があり、疲労感が半端ない。体が悲鳴を上げた今、流石にこれではいけないと、ついに新しいチェアを購入することとした。
2022.07.20(水)
文=阪口 克