松本 そうなんですよ~。
佐藤 例えば、邪馬台国を治めていたとされる女王・卑弥呼っていますよね。人々から崇められ求心力を持つに至った理由のひとつに、「雨乞いの能力があった」と言われていますが、あながち作り話ではないと思うんです。
実は僕は、天気が崩れる前に何か別のことが体に起こっているんじゃないかと、そのことがすごく気になり、天気痛の症状がある方々に35回にわたってアンケートを取り、「どういうタイミングで調子が悪くなるのか」を統計的に調べてみたんです。すると、おっしゃる通り、雨が降り出す1日前~3日前に調子が悪くなるという人がすごく多かった。
もっと調べていくと、小さな気圧の揺れ、「微気圧変動」と僕たちは呼んでいますが、それがさざ波のように日本にやってくるのを感じ取っているらしいとわかり、そのセンサーはどうやら耳の奥の内耳にありそうだと。それが僕の考え方なんです。
渡辺 私は、そもそも天気が体調を左右すると考えたことがなかったので、それを感じ取っているかどうかすらわからなくて。
野宮 私はたぶん、まったく感じない派です(笑)。
佐藤 ただ、人間誰しもがそういった変化を読み取る力があるはずなんです。でも、感じる人もいれば感じない人もいる。その差って何なんだろう? と僕も考えたんですね。それがわかれば、メカニズムがわかってくるだろうと。
そこで、感じる人と感じない人、慢性痛もなくて健康な人たちに対して、気圧を変化させる部屋に入ってもらう実験をしました。当然、天気痛を持っている人だけが調子悪くなるんです。さらに、その方々に対して、耳の後ろ側に電極を貼りわずかな電流を流してめまいを起こさせる実験をしてみると、天気痛を持っている人は、他の人たちに比べ3倍くらい敏感だとわかったんです。
だから、天気痛を持っている人は内耳がとても敏感。めまいを感じやすい、乗り物酔いをしやすい、耳鳴りがしやすい、新幹線や飛行機や高速エレベーターなんかに乗ると耳が詰まって痛い思いをする、山に登るのが嫌だなと思う、そういう人たちが多い印象です。
2022.07.15(金)
Text=Izumi Karashima
Photographs=Hirofumi Kamaya
Hair&Make-up=Tsukasa Mikami(Watanabe)