意外なところでは、GPS機能も猛烈な計算を必要としています。宇宙に浮かぶGPS衛星をいくつか捉えて、電波(光)の速度(秒速およそ30万km)の到達遅延時間から現在位置を割り出すのですが、10mの範囲で位置を割り出そうとすると0.000000033……秒単位の計算が必要になるのです。

 

 つまり、大学の研究レベルの計算を猛烈に繰り返して、居場所を特定しているのがGPSなのです。これらはみんな「スマホの知恵熱」と言えます。

 蛍光灯や白熱電球を点灯すると明るくなりますが、同時に触れないほどの熱が出ます。また、何も動くところがないハードディスクレコーダーも、録画・再生中は温風が背面から吹き出します。

 このように「電気で何か仕事をする」場合は、人間と同じで熱が出るのです。少しカッコよく言うと「エネルギー変換が行われると、必ずエネルギーロスが出る」のです。先の照明の場合は、電気を光(エネルギー)に変換すると、ロスしたエネルギーは熱となります。

 一方、光ったり動いたりしないスマホやハードディスクレコーダーは、電気を何に変えているのでしょうか? それは情報(エネルギー)です。このときのエネルギーロスが熱です。つまり、スマホの熱源は電気的に計算を行うCPU(頭脳)で、知恵熱がエネルギーロスということになります。

スマホが熱いときはどうすればいい?

 では、スマホが熱くなってしまったら、どう対処するのが一番良いのでしょうか。

 まずは充電中。夜、家に帰ってスマホを充電していたら、かなり熱くなってきてしまった――。こんなとき、「このまま充電を続けていいのか。あるいは一旦充電器から外して、温度が下がるのを待つのがいいのか」と悩んだことはないでしょうか。

 こうしたとき、充電を止める必要はありません。というのも、熱くなったらスマホが自動的に低速充電(中速充電)に切り替えてくれるからです。

 最近のスマホは電池容量が増えてきたので、急速充電器も増えてきました。こうした充電器では、より強い力で電力を電池の中に押し込もうとするため、一気にスマホが熱くなることがあります。

2022.07.09(土)
文=藤山 哲人