仏像の宝庫、興福寺からやって来た国宝十二神将像フルセット

国宝 《木造十二神将立像》 鎌倉時代 興福寺蔵

 さらに、東金堂で仏頭の先代の本尊であった薬師如来像の台座に貼り付けられていた可能性のある、浮き彫りの国宝《板彫十二神将像》(平安時代)12躯、そして文治元年(1185)に山田寺から迎えた白鳳仏を本尊として東金堂が再建されたのち、本尊に従う眷属(従者)として新たに作られた国宝《木造十二神将立像》(鎌倉時代)12躯という、2組の国宝十二神将像が出展。《仏頭》とともにダイナミックな展示空間を作り出している。

 一材から陰影をつけて彫り出し(因達羅大将のみ二材)、構図を工夫することで立体感を強調している《板彫十二神将像》、慶派仏師の関与が推測される抑揚豊かな肢体に変化に富んだ表情を浮かべ、鮮やかな彩色の残る《木造十二神将立像》、共に全点揃っての寺外での展示は初めてのこと。ほかに興福寺が伝えてきた法相宗の教えに関わる経巻や高僧たちの頂相(肖像画)など、国宝25点、重要文化財31点を含む約70点によって、興福寺の中でも東金堂を中心とした美の諸相を堪能できる。

国宝 興福寺仏頭展
URL butto.exhn.jp
会場 東京藝術大学大学美術館
会期 2013年9月3日(火)~11月24日(日)
休館日 月曜日(ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日
料金 一般1500円ほか
問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル)

橋本麻里

橋本麻里 (はしもと まり)
日本美術を主な領域とするライター、エディター。明治学院大学非常勤講師(日本美術史)。近著に幻冬舎新書『日本の国宝100』。共著に『恋する春画』(とんぼの本、新潮社)。

Column

橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」

古今東西の仏像、茶道具から、油絵、写真、マンガまで。ライターの橋本麻里さんが女子的目線で選んだ必見の美術展を愛情いっぱいで紹介します。 「なるほど、そういうことだったのか!」「面白い!」と行きたくなること請け合いです。

2013.09.14(土)