角度を変えて眺めるごとに、違う表情を見せてくれる

国宝 《銅造仏頭》 白鳳時代 興福寺蔵

 今展では破損仏ながら、そのクオリティの高さから国宝に指定されている《仏頭》を主人公として展示。頂部が大きく割れ、左側が大きく歪んでいるものの、遙か遠くを眺めるような眼差し、秀でた鼻筋、引き結ばれながらにふっくらとした唇など、明るい生彩に満ちた、スケールの大きな表情を、間近から360度ぐるりと眺めることができる。特にその「目もと」をよく見てほしい。直線的な下瞼のラインに、上向きのラインを描く上瞼がかぶさる表現は、法隆寺金堂の釈迦三尊像に代表される飛鳥仏の、「杏仁形」と呼ばれる抽象的な目とはまったく異なり、顔つきも面長ではなく、白鳳らしい丸い顔へと変化しているのがわかるだろう。

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2013.09.14(土)